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文学賞

幻想小説? いやいや。これはもう 「読むフリークライミング」でしょう。

小説の楽しみにふたつある。「視る」楽しみと「よじ登る」楽しみだ。「視る」楽しみといっても「イメージを喚起する記述のある小説」という意味ではない。小説は筋の構造やできごとの布置、登場人物たちの対立図式を提示したり、発展させたり、ときにはひっくり返してみせたりする。僕たち読者はその模様、パターンの広がりや変化を、小説の頁から距離を取って俯瞰して、わくわくしたり意表を突かれたりする。読んでいるあいだ、つ

あまりにもヤバすぎて発禁状態? 衝撃の問題作、57年ぶりに復活!

日本を代表する小説家の一人として大江健三郎の名を挙げることに異論を差し挟む者はいないだろう。なにしろ日本人作家としては川端康成に続いてノーベル文学賞を受賞した人物なのだから。
 
受賞は1994年。理由は「詩的な想像力によって、現実と神話が密接に凝縮された想像世界を作り出し、読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている」から。しかしその前段に、猥雑な想像力によって禍々しい現実を

父の背中が語るのは、好き勝手に生きることの面白さ。|戌井昭人

 父親はほとんど家にいなかったですね。好き勝手なことをしていたので。小学生の時に家族3人で旅行したんですけど、なんかつまんなくて寂しくなっちゃって。場所もまた山小屋みたいな寂しいところで、それ以降は一人で行った方がいいやって思うようになっちゃった。
 でも後楽園ホールに、よくプロレスを一緒に観に行きましたね。リングサイドで観ていて、僕がトイレだかに席を立ってリングの反対側に行ったら、父親が椅子を持