
精神科


こだま『夫のちんぽが入らない』
いきなりだが、夫のちんぽが入らない。交際期間も含めて20年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。ままならない悩みを抱え、「普通」という呪縛に苦しみながら、自分たちだけの夫婦の形を求めた私小説。講談社文庫/600円。

大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
「僕は男。僕も、いるだけでだれかをこわがらせてしまっているのかも。そのしんどさが、だれかを傷つけないことにつながるなら」。男であることの加害性を抱え、画一的でないつながりを求めて悩む七森。生きづらさと対峙する若者の物語。河出書房新社/1,600円。

浅生鴨『伴走者』の淡島
名前:浅生鴨『伴走者』の淡島
症状:「お前が不安ってことは、俺も不安ってことだ」
そうなんだ。淡島は顔を上げた。俺は伴走者だ。内田が恐怖を感じずに走れるようにするのが俺の役目じゃないか。
備考:視覚障害者ランナーの伴走者となった主人公の、伴走を通した心の変化をありありと描いた「夏・マラソン編」と、「冬・スキー編」の2編。講談社/1,400円。

世界を読み替える、クトゥルー神話の魅力。
人類が登場するはるか以前、地球を支配していたのは異次元から到来した邪悪なる神々だった。異形の姿を持つ邪神たちは、地底や海底で眠りに就きながら、復活の時を虎視眈々と狙っている。「クトゥルー神話」とは、こうした壮大な世界観のもとに創作された複数の作家たちによるフィクションの総称だ。その起点となったのは、アメリカの怪奇小説家H・P・ラヴクラフトが1920年代から30年代にかけて執筆した作品。彼の死後、多

松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』の佐倉明日香
名前:松尾スズキ『クワイエットルームにようこそ』の佐倉明日香
病状:「あーあー。ゲロでうがいしちゃってるよ」客席の一番前の席の男が、足をだらしなく投げ出して、見たまんまを垂れ流す。
備考:恋人と大喧嘩の果てオーバードーズで精神科病院の閉鎖病棟に運び込まれる主人公。その再生までを描く、深刻かつコミカルな作品。芥川賞候補作。文春文庫/448円。

監督と女優で語る。キム・ギドク × 二階堂ふみ
*1 『私の男』桜庭一樹の直木賞受賞作を浅野忠信、二階堂ふみ主演で映像化。家族を失った少女と彼女を引き取った遠縁の男が織り成す禁断の愛を描く。第36回モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀男優賞をダブル受賞した。'13日/監督:熊切和嘉/ハピネット/5200円。
*2 『魚と寝る女』釣り場を管理しながら客に性を売る女は、死に場所を求めてさまよう男と出会い…。鬼才の名を世界に轟かせた初期の傑作。

怒らない、褒めない。何も言わない。全幅の信頼とそれに応える責任感。
生まれも育ちも北海道ですが、父親が日赤病院の勤務医だったため、小さい頃は北海道内を転々としました。小学校2年生の時に、精神科の病院を開業するために、旭川の近くにある小さな田舎町に引っ越しました。父親は「昭和の親父」的に振る舞うのが好きなのか、普段は口数が少なく、子どもにもああだこうだ言わない人でしたね。その分、専業主婦だった母親が面倒をみてくれました。
兄と妹に挟まれた3人兄弟の真ん中で、特に