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説得力

どうしてみんなグレン・グールド好き?

「グールドって難しくて、迂闊に好きって言っちゃうと余計なものがいろいろ付いてくるんですよ、スノッブとかオシャレとかね」

 グールドは好きですかという直球の質問に、原摩利彦はおかしそうに、でもちょっと困ったような顔で答えた。たしかにグールドという記号はある時期イケメン男子のアクセサリーのようだったし、一般名詞化した「グールド好き」は原のような音楽家ならなおのこと、口にしづらいに違いない。それでも原

【〜3月1日】「a girl 3」 彫刻家・菅原玄奨が見せる「曖昧な実体」とは?

「“実在しているのに、実在していない”。東京の街で過ごしていると、そんな違和感を覚えることがある」と話すのは、東京都出身の彫刻家・菅原玄奨。現在、初の作品集『GENSHO SUGAHARA '18, '19』の発表を記念した新作「a girl 3」を、SHIBUYA TSUTAYA 7Fにて展示中だ。
 菅原はこれまで、めまぐるしく変転する現代に感じてきた、実在の無機質さや曖昧さを、塑造彫刻で具現

怖さが潜む、ゾッとするフレーズ。

思春期の百閒が動物をいじめる随筆の最後がこれ。死の瞬間に色が変わったというんだけど、ここで物質レベルの話が「死」という状態の話に切り替わっている。直前の鮒や蟹のところでは白やら青やら出てくるのに、この部分だけパートモノクロになって、何色に変わったのかが書かれない。この欠落がたまらなく怖いんだけど、これは文章だからこそできる技で、短いなかに取り返しのつかなさやある種の絶望感さえ漂っています。すごく視

COMPASS

大学進学を機に上京し、卒業後はそのままインテリアショップに就職した店主・杉戸伸行さん。震災をきっかけに地元・名古屋へ戻り、2012年にこの店を開いた。「どこの店も売れ筋のものを置くから同じような店ばかりで面白くない」という思いから「常にブレることなく同じ方角を指し示す方位磁石でありたい」という意味合いを店名に込めた。昔からアウトドア・カルチャーに興味があった杉戸さん。そのきっかけは、冒険家であり写

成り上がりの象徴? 単なるキャラクターの一つ? 芸人にとって、“スニーカー”とはなんなのか?

オーダーメイドのスーツに、ピカピカの革靴。昭和の芸人が、観客の待つ舞台へ上がるための正装としてあつらえた最大級のお洒落。時は流れて平成、そして令和へ。芸や演目の多様化から、お笑いの場所は劇場を中心としながらもテレビへと広がっていった。そして、芸人のお洒落も、スーツに革靴から、カジュアルなファッションにスニーカーが定番に。テレビ番組『アメトーーク!』の「スニーカー芸人」で、莫大なコレクションとともに

白石和彌監督と俳優・リリー・フランキーが語り合う、映画『凪待ち』の世界。

数多くのアウトローを描いてきた白石和彌監督。香取慎吾主演の『凪待ち』は、ギャンブル依存症の男の喪失と再生の物語。監督自身によるオリジナルストーリーで、「香取さんだから演じてほしい」とぶつけたという。白石作品は3本目の出演にして「初のいい人」を演じたリリー・フランキーは「監督の作品でいちばん好き」と絶賛する。

関口晴朗 | TXOKO(江戸川橋)

片っ端から求人に問い合わせた有名店で、一番に返事をくれたのが〈リストランテ・ヒロ〉。面接は憧れの大スター、山田宏巳シェフ直々。しかも料理の話をフランクに。一瞬でハートを撃ち抜かれ、22歳から計16年、独立まで12年間青山店の料理長を務めた。イタリア時代をともにした〈イカロ〉宮本義隆シェフ、〈オストゥ〉宮根正人シェフは、今も付き合いを続ける心の同門。2000年代前半、スペインのモダンガストロノミーの

非日常の空間で味わう 正統派リストランテ料理。

最大4席のテーブルが1卓のみ。サイズこそミニマムなダイニングだが、「アットホーム」とは無縁。薪ストーブがあり、刻一刻と移ろう森の緑を切り取る窓があってなお、きりっとシャープな印象。小林幸司シェフ、葉子さん夫妻が設えた非日常の舞台だ。イタリアのレストランシーンが今よりもっと華やかだった90年代、国内一と称されたウンブリア州〈ヴィッサーニ〉で修業し、料理長も務めた小林シェフ。スフォルマートやアッボルジ