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近代化

生と死に敏感な時代に、アートができること。 宮島達男

 現代美術家の宮島達男が表現し続けるのは「生と死」。その真骨頂と言える作品が、東日本大震災を機に生まれた「時の海−東北」だ。巨大なプールにLEDカウンターが置かれ、たゆたう水面で9から1までの数字が絶えず表示される。制作には震災で家族を亡くした遺族や東北の子供たちも参加し、2016年からプロジェクトとして成長してきた。震災から10年が経つ今、宮島は何を考えるのか。

「時が経てば、どうしても記憶は

映画で辿る、東京ノスタルジー。

 1983年、ドイツ人監督のヴィム・ヴェンダースは、ドキュメンタリー映画『東京画』を撮ろうと思い立つ。テーマは、敬愛する小津安二郎の映画のような風景が、東京にまだ残っているかを検証することだ。しかし、彼の目に映ったのは、小津のそれとは似ても似つかぬ、混沌とした東京の姿だった。本作を今観ると興味深いのは、そこにもまた失われた東京が記録されていることである。歴史を遡れば、初めて東京がフィルムに収められ

名建築で辿る、大阪の100年史。

味のあるレトロビルから最新の建築まで、なぜ大阪にはさまざまな年代の名建築が存在しているのだろう? 建築史家の倉方俊輔さんに教えてもらった、都市構造と、近現代の名建築から見える、大阪の100年史。



 大阪はカオティックな街だと思われがちですが、都市構造は明快です。ベースは豊臣秀吉による碁盤の目状の街割でした。近代に入り、政治、産業、交通手段の変化に合わせて新たな建築が造られ、街の造りも変化し

名建築家の考えた、革新的なキッチン。

「住宅は住むための機械である」という名言を残した近代建築の巨匠、ル・コルビュジエは「台所は神殿とはいわないまでも、家の中で最も重要な場所の一つだ。台所も居間も人が生活する場所であるから」とも著した。「名だたる建築家が設計した住宅は、作品として意匠や構成が注目されがちですが、キッチン空間もこだわりの結晶です」と建築史家の須崎文代さんはいう。

 産業革命以降、手作業を機械装置に置き換える機械化の波が

美術家・やなぎみわが実験的に表現する、"人知を超えたもの"。

 1990年代から、商業空間で機械的に群れをなす女性たちを切り取った「エレベーター・ガール」や、様々な老女像を投影した「マイ・グランドマザーズ」など、神秘的でどこかミステリアスな魅力を孕む写真作品を発表してきた美術家・やなぎみわ。近年は演劇分野でも精力的に活動を続ける彼女の大規模回顧展『やなぎみわ展 神話機械』が、6月23日までアーツ前橋で開催中だ。

 今回やなぎが選んだモチーフは、"神話"と"

スタジオジブリという奇跡。

宮崎駿監督は1984年、『風の谷のナウシカ』から本格的に長編製作を始め、翌85年にはスタジオジブリを設立した。日本の制作スタジオは主にTVアニメを制作してビジネスを回しているが、スタジオジブリはTVアニメを制作せず、ハイリスクな映画製作を中心に据えたところに大きな特徴がある。
 
ジブリ初の大ヒットは89(平成元)年に公開された『魔女の宅急便』。日本テレビが宣伝に参画し、これまであまりリーチしてい