
FINN JUHL NV-45 いま、なぜフィン・ユールか?
後ろ姿の美しい椅子は良くデザインされた椅子である。とするならば、フィン・ユールの《No.45》は、その最たるものといえるだろう。ユール自身も座っていたその椅子を撮影するため、デンマークの彼の自邸までやってきた。ついぞ座る夢は叶わなかったが、光が差し込む窓辺に向かって置いた《No.45》、その後ろ姿の美しいこと。これを見るためにもう一つ椅子が要るんじゃないかと思ったほど、というのも冗談とも言えず、「
後ろ姿の美しい椅子は良くデザインされた椅子である。とするならば、フィン・ユールの《No.45》は、その最たるものといえるだろう。ユール自身も座っていたその椅子を撮影するため、デンマークの彼の自邸までやってきた。ついぞ座る夢は叶わなかったが、光が差し込む窓辺に向かって置いた《No.45》、その後ろ姿の美しいこと。これを見るためにもう一つ椅子が要るんじゃないかと思ったほど、というのも冗談とも言えず、「
20世紀初頭から半ばにかけて、デンマークを中心に北欧は今では“名作椅子”と呼ばれる椅子の数々を生み出した。その多くは木の椅子でありデザイナーは自ら木工の技術を持った家具職人でもあった。コーア・クリントを筆頭にこの時代の代表的な作家を紹介する。
デンマークの超絶的な木工技術の結晶であり、木の椅子の一つの究極。大胆なフォルムの背もたれ、アーム、座面が宙に浮かんだように見えるのが特徴。発表時は規律正しい北欧家具の世界で賛否両論を巻き起こした。抽象彫刻にも触発されたユールの造形感覚は、当時の名匠、ニールス・ヴォッダーの技術力によって日の目を見たという。長年にわたり幻の一脚だったが、現在は復刻されている。