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吉祥寺

淡い連帯/喫茶店の守護神|平松洋子

 ほとんど毎日、住んでいる町のどこかの喫茶店に寄る。仕事の合間、休憩を兼ねて散歩に出るのが習慣なのだが、さて今日はどこに入ろうかと自分の気分を探りながら歩くのがまた楽しい。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
 十年一日のごとく同じ挨拶だけれど、交わす一瞬の視線にぽっと灯りがともり、言外にお互いの元気を確かめ合う。でも、それ以上のことは何もない。マスターが淹れてくれる熱いコーヒーを相手に、ただぼんや

COFFEE HALL くぐつ草|具志堅用高

〈くぐつ草〉は洞窟みたいに囲まれた雰囲気が好きなんだよね。吉祥寺でも古い喫茶店らしいね。ボコボコした土壁の模様がユニークでさ、ジャズもかかっているから夜なんかに来てもいいんだよな。オレが喫茶店に通い始めたのは、高校時代に石垣島から沖縄本島に出てきた時。パーラーって呼ばれる沖縄の喫茶店にはゴーヤチャンプルーとかご飯もあって、店内のインベーダーゲームもよくやったっけ。その時代、喫茶店にいる高校生は不良

カフェ・ドゥ・リエーヴル うさぎ館

そば粉のガレットで知られる井の頭公園内のカフェが、オープン12年を経てリニューアル。今春からガレットに加え姉妹店である吉祥寺の人気カレー店〈モンタナ〉のカレーがオンリストされ、6月からはテイクアウトも開始した。ちなみに現在〈モンタナ〉はつけ麺専門店となり、オリジナルのカレーが食べられるのはここだけ。多くの固定ファンを生んだ名物メニューが公園のベンチで食べられる新展開。地元っ子に朗報だ。右/公園内に

mana's green

「塊根部分のぽっちゃり感がたまらなく可愛いですよね」と、パキポディウムのフォルムに魅せられたオーナーの真中隆之介さんが、WEB販売を経て昨年吉祥寺に週末だけ開く実店舗を開業。「小さい株から育てていくことも植物と付き合う楽しさの一つ。育てるって楽しい! と感じることが園芸の第一歩」と、実生にも力を入れており、店には若々しいパキポディウムの実生株も多数揃う。
 本業が造園業というだけあり、ガーデニング

片岡義男と、2度目の週末の午後。

 作家・片岡義男がデビュー40周年を迎える。1974年、「白い波の荒野へ」でデビュー後、『スローなブギにしてくれ』『彼のオートバイ、彼女の島』『ボビーに首ったけ』に代表される角川文庫シリーズ(通称「赤背」)が全国の書店に並び、映画化作品もヒット。80年代初頭には一躍世に知れ渡る存在となった。
 その活躍の場は文学界のみにとどまらない。作家としての成長期には創刊されたばかりの『POPEYE』『BRU

酒場と父親。|ホンマタカシ

 子供の頃、父親が酔っぱらうのを見るのが嫌だった。父親は商売を終えて夜、家のリビングでサントリーオールド(ダルマという愛称で呼ばれていた)のロックか水割りを飲むのが好きだった。別段、酔って暴れるとか絡んでくるというわけではなく、ただ1人でユックリと晩酌をしているだけだった。父親は顔が普通の人より長く、映画の斬られ役が集まった悪役商会のメンバーのようなちょっとドスがきいた顔をしていた。そんな父親の顔