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新人賞

漫画やゲームを評論するブルボン小林と、小説を書く長嶋有。

「『ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論』カバーの金氏徹平さんの作品は、僕の自宅に飾っているものです。今回使わせてもらうにあたって、題字を載せたり色をつけたりの改変も快諾してくれ、デザインのアドバイスまでしてくれ、本当に感謝しています。『私に付け足されるもの』のカバーは“地味な女シリーズ”と銘打たれた短編を収める、そんな本にこそ派手な服を着せるべきだ! と思ったので、人物画にしてほしい、絵の中の

村上春樹『風の歌を聴け』の僕、鼠、女

名前:村上春樹『風の歌を聴け』の僕、鼠、女

症状:秋が近づくと、いつも鼠の心は少しずつ落ち込んでいった。カウンターに座ってぼんやりと本を眺め、僕が何を話しかけても気の無さそうなとおりいっぺんの答えを返すだけだった。

備考:海辺の街に帰省した僕と鼠と女の子とが過ごした1970年の夏。ビールと音楽と文学のある青春の一片。群像新人賞を受賞した著者デビュー作。講談社文庫/450円。

「赤い靴を履いてりゃ 乙なんだ」

明日があるからよけいに疲れてしまうのよ。空が曇ったり晴れたりするから腹が立つんだ。波はおしよせてはひいて、海岸にタコが打ちあげられた。恋人たちは笑いながらタコをもてあそぶ。赤い靴を履いておめかしをしたけれど、迎えが来ない。だから目印になるようにビニールを頭からかぶってみたんだ。しばらくすると空に銀色の光が見えた。あれは、ぐるぐる回る円盤だね。わたしを迎えに来たんだね。赤い靴を履いといて良かったよ。

「校長先生はご乱心だ」

私は憤りを感じております。先程の奇術ショーだが、奇術師の方が袋の中からヒヨコを出すネタをやっている最中、誰かが大きな声でタネをばらしたろ、挙句、皆は大笑いしたよな。あのさ、あの方のテクニックがいくら稚拙だったといえ、先にタネをばらすなんて最低の行為だぞ、あのような場合は黙って見守るのがマナーだろ。もしネタバレが生じても、無かったことにしてやるのが優しさなんじゃねえのか。本当に、君たちには幻滅したよ

「ゴシック」とは生き方の問題。 屈強な美意識で社会の虚構を穿つ。

『歌人紫宮透の短くはるかな生涯』という、すさまじい奇書がある。

これは1980年代を駆け抜けた天才歌人・紫宮透の作品と生涯を、彼自身の歌作や発言に加え、あまたの関係者たちの証言から繙いてみせた伝記  を、あくまで読者に紹介するという体裁の小説。要するに、紫宮透は実在しない。彼の歌作も、それを評する夥しい声も、それらを書き綴った伝記本も、すべては作者・高原英理ひとりの想像力が編み上げたもの。ところ

死にかけたアメリカを映し出す“普通の人たち”。| リン・ディン × 川上未映子

路上生活者、身体障害者、日雇い労働者、ドラッグ中毒者……。『アメリカ死にかけ物語』は、ベトナム生まれの詩人であり小説家のリン・ディン氏が、アメリカ各地を旅しながら、底辺に生きる者たちの声を拾い集めたエッセイ集だ。いわば“アメリカのB面”のドキュメントである同書が書かれた背景について、その日本版にエッセイを寄せた小説家の川上未映子氏を聞き手に迎え、リン氏に語ってもらった。

ガンダムと大学で学んだSFで現代に斬り込む。|吉上 亮

 僕の「SF的なるもの」の原点は、『ガンダム』シリーズです。5歳の時に『Gガンダム』をリアルで観たのが最初で、小学校4年生の頃に、初代から『∀ガンダム』までのテレビシリーズをレンタルビデオで全話観ました。
 もう一つ大きかったのが、大学で受けた東浩紀さんの講義です。具体的には「小説を書く」「小説を読む」「現代批評を読む」という3つの講義で、特に大きな影響を受けたのがSFを読む授業でした。H・G・ウ