キーワード

新人賞

「掘っ立て小屋は今日も耐え忍ぶ」

 欄干から眺める川面にはボウフラ三匹飛んでいた。向こうにそびえ立つ煙突からはオレンジ色の煙が吐き出され、空から恐竜が降ってきて『ドカン』。屋根に落ちたよ。小屋の扉を開けると水色のドラム缶が転がってきて『ドボン』。川に落ちました。すると窓から薄っぺらのおっさんが飛び出してきて、ドラム缶にジャンプ、器用に体勢を整え、馬に跨る様な格好になって、川を『ドンブラコッコのコケコッコー』と下っていきました。

【7月16日発売】現代日本文学の最先端はここ! 気鋭の作家の20年を1冊の本で読む。|『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』

昨年12月、芥川賞候補が発表された時に快哉を叫んだ人は少なくないだろう。そこには初ノミネートとなる乗代雄介の名前があった。デビューから5年、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』を書いた作家は何を読み何を書いてきたのか。メイキング・オブ・乗代雄介とも呼びたい『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』が完成した。

「遊ぶことばかりを考えて生きてます」

 朝起きたら、まずは何して遊ぼうか考えます。晴れていれば最高だけど、今日は少し曇り空、雨もふりだしそう。でも、遊んでばかりの身の上なので、天気のことなんて図々しく意見していたら罰が当たります。さてさて何して遊ぼう? 犬を追いかけまわそうか、洗濯物と一緒にぶら下がってゆらゆらしようか、ひよこと双六ゲームをしましょうか、わざと溝にハマって日がな空を眺めていようか。うーん、よし決定、今日はひよこ双六だ。

増島拓哉 ●小説家|街と言葉で加速する 若き大阪ノワール作家。

 大阪府立の名門高、北野高校文芸部で小説を書き始め、19歳で仕上げた初長編『闇夜の底で踊れ』では、パチンコ中毒で風俗嬢におぼれる元極道を主人公に。これがとてもリアルな描写の連続で、並み居る作家や書評家をうならせた。それでいて「パチンコ経験は今もありません。YouTubeで見て、調べて。極道の世界は北野武映画とかを参考に」と言うのだから、まさに新世代。暴力描写も辞さないノワールな世界を描きつつ、テン

「悪い子なんていねぐねえぞぉ」

 もう許せねえや、ふざけた態度をとりやがって。僕も結構悪い子だというのは認めるけど、あいつらはもっと悪い子なんだ。こらしめてやらなくちゃならねえ。僕の名前は、ブルーひらの助、木製の剣、チャンカイスペシャルでダイヤモンドも真っ二つ、青いヒラリーノスーツは虫除けにもなるんだ。今日もライオンのように大地を走り、象のように体当たり、右も左も真っ暗闇の世界を、眩しい世界に変えてやるのが、僕の使命です。