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集英社

怖さが潜む、ゾッとするフレーズ。

思春期の百閒が動物をいじめる随筆の最後がこれ。死の瞬間に色が変わったというんだけど、ここで物質レベルの話が「死」という状態の話に切り替わっている。直前の鮒や蟹のところでは白やら青やら出てくるのに、この部分だけパートモノクロになって、何色に変わったのかが書かれない。この欠落がたまらなく怖いんだけど、これは文章だからこそできる技で、短いなかに取り返しのつかなさやある種の絶望感さえ漂っています。すごく視

「心地よくても 眠らないで欲しい」

 ふたりで仲良く座ってください。ふかふかっとお尻が沈んでいったら、足を少し浮かしてください。この椅子はアッチの方へスライドしていきますので、足を地面につけていると、大変危険です。スライドしている最中は、死んだネズミとか、食いかけのヤキソバとか、名もない仏像とか、光る石ころとか、湿気ったホコリとか、固まったドアノブなどを見ることができるから、じゅうぶん楽しむことができると思います。途中休憩はありませ

「しびれる雨に 濡れながら踊りたい」

 きつね色の雨が降り、傘をさしたけれど濡れている。靴下、帽子、背中、そして心の中まで濡れている。しばらくは乾きそうにないだろう、でもそのうち乾くだろう。どちらにしたって、わたしの心は雨模様、あすこに見える強烈な光に誘われている。近づけば、意識がヤバめの方にいってしまうことはわかっているのだけれど、導かれてしまっているのだ。ああ、早く雨よやまないか、今宵もタンゴを踊る相手が見つからなそうだべ。

「夢の中で豚が飛んでたよ」

 流行なんて長くは続かないが、わたしはひととき、カツ丼が大好きだった。あまりにも好きで、夢の中に何度も出てきた。しかし、カツ丼を食べようとした瞬間、大きな豚が草むらから飛び出してきて、カツ丼を横取りし、食べてしまうのだった。毎度そんな感じで、カツ丼は食べれない。でもあるとき、豚がカツ丼を喰らう姿を眺めていたら、『こりゃ共食いじゃないか』とおののき、以来、わたしのカツ丼ブームは終わったのだ。

「どこからか悲鳴が 聞こえてきたよ。嫌だな」

 なんかの市場だったところ、いまは怪しい取引をやってるところ、誰もいないようだけれど、二階の奥に、スキンヘッドでガタイの良いボスがいるから、挨拶は絶対しときなよ。ボスは昔プロレスラーにスカウトされたことがあるとかないとかで、いつも大きな金庫の前に座っているよ。決して金庫を触っちゃいけないよ。もし触ったら、二階の窓から放り出されるからね。そもそも金庫なんて気づいてないフリしてるのが得策ですよ。

「忙しくないなら、 忙しいフリをしろ」

 曇り空、日が沈むと、街に灯りがつきはじめ、わたしはビルの屋上にのぼり、世間を見下ろしながら、今日一日の出来事を思いかえすのです。上手くいかなかったこと、上手くいきすぎたこと、失敗、損失、先の見えぬ問題、若い頃は苦労は買ってでもしろと言いますが、できれば買いたくありません。しかしながら、いつの間にやら、苦労のバーゲンセールを買い込んでしまったありさまで、今日も一日が終わってゆくのです。

「強くあれ、優しくあれ」| 宮沢氷魚

モデルとしての活躍はもちろん、ドラマ、舞台、映画など、俳優としても活動の幅を広げている宮沢氷魚さん。今回の撮影中、自分から撮影スタッフに積極的に話しかけ、緊張した雰囲気を緩めてくれた。さりげない気遣いで現場を明るくしてくれる氷魚さんの父は、ロックバンド〈THE BOOM〉のボーカル、宮沢和史さんだ。
「物心ついた頃から父にずっと言われてきたことがあります。それが“強くあれ、優しくあれ”ということば

「本当に欲しいものは無いので なんでもください」

ボールが的に当たったらイチゴをください。的に入らなかったら他のものでもいいです。でも何かください。頂けるものなら何でもいただきたいのです。子供の頃から、いろいろと頂き物をしてまいりました。その中には、欲しかったものもあったけれど、別に欲しくなかったものもあります。でも、頂けるということは、なんであれ嬉しいものです。だから、何でもいいからください。いつでもなんでも募集中。現在はイチゴを所望中。

「おい、まだ飯食ってるのか」

 怒ってるぞ、この上なく怒ってる。あんだけ言ったのに、お前、また同じじゃないか、舌をペロペロやって、とぐろを巻いて、なんの進歩もありゃしねえ。もっと考えたらどうなんだ? ワシは、今日も牙を研いでから石を噛み砕き、泥水を飲んで、屋根の上から三回転げ落ちるといったトレーニングをしたぞ、満身創痍ってやつだ。それに比べてお前さんは、あいかわらず、まだ食事中だ。とっとと飲み込んじまえ、食事終わらせろ。話はそ