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日本橋

淡い連帯/喫茶店の守護神|平松洋子

 ほとんど毎日、住んでいる町のどこかの喫茶店に寄る。仕事の合間、休憩を兼ねて散歩に出るのが習慣なのだが、さて今日はどこに入ろうかと自分の気分を探りながら歩くのがまた楽しい。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
 十年一日のごとく同じ挨拶だけれど、交わす一瞬の視線にぽっと灯りがともり、言外にお互いの元気を確かめ合う。でも、それ以上のことは何もない。マスターが淹れてくれる熱いコーヒーを相手に、ただぼんや

伊吹珈琲店|土井善晴

 黒門市場の仕入れの時にいつも立ち寄っていたのが伊吹さん。東京に移って20年になりますが、今でも黒門に行けばここに行くのが楽しみ。私は大のフランス好きですが、ずっと前から人に「大阪にパリがあるんや」と言ってました。ミナミの盛り場にあるせいか、大抵は市場や周辺で働く常連さん、中には怪しげな人もいて、人間味あふれているのが、パリの古いカフェみたい。コーヒーも同様に苦味の効いた「しっかり旨口」。普段はブ

「茶の湯の本質は人が人と場を結ぶこと」と若き宗匠は言った。

東京オリンピックが2年後に迫り、日本を訪れる外国人観光客の勢いに衰える兆しはない。ちょっとワクワクザワザワした市中の気配に押されるように、僕らの気分は何だか「日本」に向かいつつある。そんな絶妙のタイミングで和の総合芸術である茶の湯の新ブランド〈茶論〉を立ち上げた茶人・木村宗慎に、現代の茶の湯について話を聞いた──。

木村宗慎 茶の湯は今、長らく続いた行儀作法や所作のお稽古事から

平田牧場の金華豚ヒレかつ膳

 マガジンハウスの『ポパイ』web版でシティボーイに選んでもらっている私ですが、実は、一九七四年に山形県に生まれました。数年前、地元から母が上京したとき、一緒に食事に行ったのがコレド日本橋の〈平田牧場〉。〈平田牧場〉は山形県の会社なのですが、二人とも食べたことがありませんでした。めったにない母との食事なので、高級な「金華豚ヒレかつ膳」を注文。すると運ばれて来たのは、サクサクしたパン粉に、一口でかみ

歩く - ルーカス B・B / クリエイティブディレクター、編集人

「歩くことが好きで、よく山に出かけていました。ある時、昔の人々が歩いた旧東海道の存在を知って、日本橋から静岡まで徒歩で旅したのが初の街道歩き。1日30~40㎞、1〜2週間かけて、熊野古道や塩の道など、各地の街道を歩いてきました。昨年末は、小豆島を6日で160㎞。3日目くらいから体が慣れ、感覚も研ぎ澄まされて、頭もクリアに。峠を越えると茶屋跡があったりして、なるほど、と思ったり。昔の人と心がつながる

2つの挫折を経験して、作家の道は駄目だとわかった。|田原総一朗

 1学期までは聖戦だと言ってた先生が、2学期になって実は間違った戦争だった、侵略していたのはアメリカやイギリスではなく、日本だったと。子供なりに、大人がもっともらしい口調で言うことも、新聞もラジオも信用できないなぁ、国も国民を騙すことがあるんだなぁと強く思った。これが僕の原点です。だから今も非常に疑り深いですよ。メディアなんて信用できないと思ってる。だから自分の目で、耳で直接確かめるんです。僕は今