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滝本誠

僧侶であり作家が描く、 河内闘鶏ワールドへ。

 河内の僧侶兼作家の今東光に『闘鶏』という短編があったことを思い出させたのは、扶桑社ミステリーからチャールズ・ウィルフォード『コックファイター』(齋藤浩太訳)が刊行され、その解説を小生が担当し、そういえばわが国でも同様のコックファイト小説があったな、と記憶を探ったからである。今東光は『お吟さま』で昭和31(1956)年下半期の第36回直木賞を受賞した作家であり、これまで2度映画化もされた彼の代表作

アート・ミステリー、 極上の外道はこの一冊。

 自分の生まれた1年後の1950年、終戦直後の混乱と高揚のなかで刊行されていた橘外男の『青白き裸女群像』(京橋の名曲堂の刊行、定価百五十圓)を、散歩ついでに立ち寄った古本屋でようやく手に入れることができた。フランスの人里離れた城塞地下に、美青年の甘言によって拉致された金髪の美少女たちが、腐乱する異様な肉体の画家に裸体モデルを強要され、最後には……、いかにも外男の名に恥じぬ外道なお話である。その外道

ウォレス・バーマン 逮捕(前回の続き)。

 アメリカの1950年代、60年代にロサンゼルス、サンフランシスコと西海岸で活動し、事典的にいえばビートからポップ、ジャズからロックへの移行期を鋭く厳密な姿勢で生きた(プロのギャンブラーでもある)アーティスト、ウォレス・バーマンは、しかし、生涯1回しか商業ギャラリーでの個展をやっていない。そのわずか1回の個展(1957年)もオープニングの日に、わいせつ物陳列容疑でバーマンは逮捕、拘留されたため、関

ビートからポップ・アート、W・バーマン再発見。

 この連載コラムの前担当者M(現『ポパイ』編集長)のメールでの質問が、おおげさでなくウイルス禍で引きこもった一老人の孤独な環境に劇的な知的刺激をもたらすことになった。これまで数十年かけて集め、わが家で散乱状態にある情報をすべて適所に配置可能にする人物との遭遇であった。Mのメールはこうである。

「まだ息してます? よかった。ところで、ウォレス・バーマンって知ってます?」

「だれだよ? ……まてよ