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怖さが潜む、ゾッとするフレーズ。

思春期の百閒が動物をいじめる随筆の最後がこれ。死の瞬間に色が変わったというんだけど、ここで物質レベルの話が「死」という状態の話に切り替わっている。直前の鮒や蟹のところでは白やら青やら出てくるのに、この部分だけパートモノクロになって、何色に変わったのかが書かれない。この欠落がたまらなく怖いんだけど、これは文章だからこそできる技で、短いなかに取り返しのつかなさやある種の絶望感さえ漂っています。すごく視

産業としての活版印刷の歴史をつなぐ、溪山丈介さん。

板橋にあった〈内外文字印刷〉を叔父から受け継ぎ、名前を変えて移転したのが6年前。浅草界隈には活版をやっている印刷会社や製本屋さんもあって材料も仕入れやすいんですよ。文撰の職人が活字を拾い、植字の職人が版を組み、印刷するという明治初期に普及した手法で印刷物を作っています。今は詩集を作っていて、ほかには句集、名刺や葉書、企業の刊行物、珍しいところでは、昨年東京オペラシティ アートギャラリーで開催された

【経堂に魔がすむ。】経堂に颯爽と現れた南インド料理。

 前回の湖南料理の店「香辣里」は、あの発酵中華のすっぱ辛さが癖になり、取材後すでに、2回もリピートした。なんでか知らないけど、短期間に何度も行くとなんとなく「また来ちまいました、ぐへへ」というような卑屈な気持ちになるのだが、今回もすでにそうなってしまいそうな気持満載である。

 なにしろ今回訪ねる南インド料理屋「フードタイム」は、私が疲れたとき酸素カプセルに入りに行き、そして「やしげる」という強烈

ナチ弾圧下における、 〝退廃芸術〟作家たち。

 クラウディオ・ポリ監督の『ヒトラーvs.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、稀にみる知的緊迫にみちたドキュメンタリーだった。これまでどのようなモノ(造本ほか)かが確認できなかったマックス・ノルダウの『エンタールトゥング(退廃)』が登場したことがなによりも価値がある。

〈退廃〉は、ナチが(当時の)現代美術全般に投げつけた罵倒語であるが、その震源の最大のものは、1890年に刊行されたノルダウのこの書

名物より、好物。

うどんではなくきしめん、それも冷たいの。

きしころは讃岐うどんの冷やぶっかけのようなタイプが主流の中、この店はひたひたのつゆ。だから「冷やかけきしめん」(600円*税込み)と呼ぶ。クリアなつゆからシャープな香りが立ってくる。まだ昼にしか行ったことがないが、酒類も充実しているらしく、日本酒だけでなくワインもあると聞いた。中心部から少し離れているので、熱田神宮参拝とセットにして行くといいかも。味噌煮

時代背景、演出の妙、 エログロ独逸ノワール。

 スターリン・ロシアからベルリンに向けて、貨車が運行されてくる。途中、ロシア国内でトロツキスト集団の襲撃があって、彼らによって謎の貨車が連結される。この貨車の積荷はなにか? ドイツ国境を越えたところで列車は停止命令で車庫に留め置かれる。積荷のミステリー、それに絡む多くのベルリン在住ロシア人、そしてドイツ軍部の将軍たちがもくろむ政治的な不穏がドイツのTVシリーズ『バビロン・ベルリン』のシーズン1、シ

Mr.ラッキーマン、 グレッグ・レイク。

 グレッグ・レイクの名前は、ELP(エマーソン・レイク&パーマー)のヴォーカル&ギタリストとして1970年代を席巻したが、それ以前の彼の名前はまた、キング・クリムゾンのデビューにあたってのヴォーカル&緊急ベーシストとして、これまた不滅である。弦が6本からマイナス2、ギターからベースへの変更にはクリムゾンの事情があって、すでにロバート・フリップという狂気のテクニシャンがギター担当だったからだ。