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とんかつ

赤坂 まるしげ

 赤坂を代表する名酒場〈まるしげ〉は夜な夜なサラリーマンで賑わう。酒は日本酒で常時40種、焼酎は80種で、ここへ来れば大抵の味わいは楽しめるといわれるほど種類豊富。そしてとんかつ。数あるメニューの中でも、ダントツの人気を誇る逸品が稀少種・梅山豚を使ったとんかつだ。「脂がとにかく美味。ナッツのような香りがあります。合わせるならこれがお薦め」と店主の小久保茂紀さんはポン、ポンと数本の酒を提案。酸で脂を

自然坊

 初代の笹本伸爾さんが、成城学園前の住宅街に佇む名店〈とんかつ椿〉(p.87)に憧れ、自身が生まれ育った大田区の住宅街に出店。四半世紀が経った今では久が原を代表する店として地元民に愛されている〈自然坊〉。肉質がきめ細かく、脂に甘味があるという群馬県産やまと豚を、綿実油で揚げるとんかつは軽い仕上がりが特徴だ。
「とんかつは塩で味わってもらい、フルーティな味わいの『作』と合わせてもらうと面白いんですよ

かつ好

カウンターには、油の温度帯が異なる銅鍋が2つ。高温の鍋で衣を固めてから、中高温の鍋に移して肉を蒸し上げるイメージで揚げています、と静かに語るのは、店主・水上彰久さん。揚がったカツを上下に振って油を切る所作も、そのカツも美しく、立体的な衣は軽やかなのにジューシー!
〈かつ好〉という店名に聞き覚えのあるとんかつマニアも多いだろう。静岡で50年前に創業し、一時期恵比寿にも支店が。そこで働いていた水上さん

富士㐂

今、優秀な料理人たちがこぞって欲しがる豚肉が「愛農ナチュラルポーク」。年間100頭前後という飼育頭数の少なさゆえ“日本一人気の豚”と言っても過言ではない。
 有機農業実践校である三重・愛農学園農業高等学校で、実習の一環として飼育されるこの豚は自然交配で生まれてストレスフリーの環境で成長。清潔な豚舎で投薬は最低限に、生徒たちからの愛情を最大限に享受して育つのだ。
 これを贅沢にもとんかつで味わえるの

どん平

私とんかつ屋の娘なんです。物心ついた時から、とんかつといえば父が作る〈どん平〉のとんかつしか知らなかった。土曜の午後、昼ご飯は決まってとんかつ。おやつもとんかつ。腹が減ったと言えば「とんかつでも食ってろ!」と。劇団時代、店の2階の座敷で徹夜で稽古をしていると、余った豚肉でカツカレーを作ってくれたりもして。私も周りの演劇人も、〈どん平〉のとんかつで育ったと言っても過言ではない(笑)。だから、よその店

とんかつ ゆたか

「自分に褒美を与える」っていう感じなんですよね。家から歩いて汗だくになって、銭湯に入ってから食べに来る。しかも原稿を書き終わったぞ、みたいな気分のいい時に〈ゆたか〉に来るんです。ロースかつ定食にビール瓶1本つけて。とんかつが来る前に塩辛でもつまみながら、店に来ている上品な爺さんを観察したりして。んでもって、だいたいビールを飲んでる途中でとんかつ来るんだよな。どうやって食べようかって、一人とんかつ劇

壺庵

もともと食にこだわりが強い方ではないんです。1杯で完結して時間もかからず、ずるずるっとかっこめるラーメンとか丼ものが好き。で、この店で「とんかつ茶漬け」を知ってからは、もっぱら“とん茶”ばかりです。ここ〈壺庵〉はもともと両親の行きつけで、物心ついた頃には多分、すでに常連でしたね。僕はまったくお酒が飲めないのですが、大人になって一人暮らしを始めるようになると、1人でも来られる〈壺庵〉は妙に安心できて

かつくら新宿髙島屋店

新宿にある予備校に通っていた頃に〈タカシマヤタイムズスクエア〉が開業して、当時から通っているのが〈かつくら〉の新宿髙島屋店。とんかつって、高いじゃないですか。でも大好きで。だから若い頃はいつもすっごくお腹をすかせて行っていました。キャベツもご飯もお代わり自由だから、とんかつ一皿でお腹いっぱいにできるという、お金がない時の強い味方でした。とんかつは断然ロース! 特に脂身たっぷりの端っこが好き。ここの

ふく屋

共にとんかつを愛する仲良しシェフの2人が連れ立って、東森さん行きつけの〈ふく屋〉へ。
東森俊二 ここは20歳くらいから通っていて、昼から飲んで最後に蕎麦ととんかつで〆るのがパターン。
原川慎一郎 うんまッ! このヒレとろけますね。口の中で消える! 昔はロース派でしたが、数年前にヒレの旨さに目覚めて、ヒレ派に転向。
東森 ヒレの優しい味が旨いよね。けど僕は、基本的にロース派。脂がたまらなく好き。

糸井重里、とんかつを 考える。

自他共に認める「とんかつ好き」の糸井重里さん。名店、無名店問わず多くの店を訪れているが、優劣をつけて語ることはしない。店の数だけとんかつがある。そしてすべてのカツに笑顔で「ごちそうさま」。それこそが糸井さんの考える、とんかつ愛。率直で打算のない、純愛なのだ。

「僕はこだわりとか嫌いだからね。にしてはとんかつはちょっと入っているところがあって」。そう前置きをして、とんかつとの蜜月を振り返る糸井さ