キーワード

とんかつ

名代とんかつ かっぱの名代とんてい

 バリッと揚がった名代とんかつ。せん切りキャベツの小山を従えて威風堂々。皿の上の勢いがとにかく違う。ちらり、きつね色の衣の下から見えるロース肉の顔つきもたまらない。とろーっとたっぷり、艶っつやのデミグラスソースの海。右手にナイフ、左手にフォークを握ったまま見入ってしまう。ひと切れ噛みしめたら、もう止まらない。〈かっぱ〉の嵐に巻き込まれて突っ走る。
〈かっぱ〉に惚れている。実家のある倉敷に行くとまず

立呑み とんかつ まるや 汐留店

 ロースカツ400円。惣菜店や弁当屋と変わらぬこの価格に気を取られていると、その旨さに驚かされる。豚肉は日本人向けに開発された麦富士豚。油はコクと風味を生む100%ラード。中心がほんのりピンク色になる絶妙な揚げ加減も見事。これは紛うことなき、専門店のとんかつである。ここでお供に薦めたいのが、定番からジンジャー、梅風味まで10種ほど揃うハイボール。喉に刺さる強炭酸とウイスキーの苦味はとんかつの風味を

GINZA1954

 惚れ惚れするほど美しい極薄の衣に、肉の断面は見事なまでの淡い紅色。名物の「カツサンド」にありつくには注文から30分ほどかかるが、低温の米油でじっくりと火を入れるその時間こそ、美しく旨いカツを生む秘訣。贅沢にもロースの中心部だけを使う宮城県産三元豚は軟らかく、噛み締めると肉汁がじわり。合わせるのは豚と同郷の「宮城峡」。「ロース肉自体の旨味がしっかりしていて、ソースの味も濃いから、ストレートで合わせ

とんかつ 喝

 金町駅北口の駅前通りの雑居ビルの2階にある隠れ家的な店だが、〈喝〉はとんかつファンの間では名の知れた一軒だ。ここのとんかつの特徴は、何といっても低温の大豆油などで揚げ、余熱でじっくり火を入れることにより引き出される肉のジューシーさにある。この製法は時間が経っても肉が硬くなりづらいというメリットを生むため、酒の肴としてじっくり味わうにはぴったりなのである。合わせる酒は、店主が惚れ込む常陸野ネストビ

民藝酒房 SUZUBAR

 新宿で創業六十余年の老舗〈すずや〉(p.87)。2年前にメニューを一新し、品書きから「カツサンド」の名が消え、悲しんだファンも多いはずだ。が、そのカツサンドは、系列店のここ〈SUZUBAR〉で味わえる。当然、カツサンドの製法も〈すずや〉時代のままだ。特製ソース、パンに塗られた辛子の刺激とバターの風味がヒレカツを包み、それらが渾然一体となる。中島大渡店長が季節の野菜や果物で提案するカクテルの中から

洋食・ワイン フリッツ

 かつて洋食の名店〈旬香亭〉の揚げ物専門店として人気を集めた赤坂の〈フリッツ〉。その閉店から4年を経て、昨年5月に元調理スタッフだった田苗見賢太さんによって、店名もそのままにオープン。当然、メニューに並ぶのは、〈フリッツ〉仕込みの料理だ。昔からのファンをさらに喜ばせたのが、「オープン直後はオペレーションが未熟だったから」との理由で封印していた「ロースとんかつ」の開始。茨城県産美明豚を、高温の油と、

あげづき

 開店に当たり数十種の豚肉を試したという店主の保科剛さんが、食べた瞬間に採用を決定したのが宮崎県産「南の島豚」。きめ細かい肉質と赤身と脂のバランスに惚れ込んだのだという。そんな肉質を生かすために、揚げは低温の油でじっくり20分ほどかけ、仕上げに高温で衣に香ばしさをプラス。ただしラードに植物油をブレンドしているため、食べ応えは軽い。純米酒を中心に20種以上揃う酒、お薦めは燗で。酒の温度が脂の融点を超

赤坂 まるしげ

 赤坂を代表する名酒場〈まるしげ〉は夜な夜なサラリーマンで賑わう。酒は日本酒で常時40種、焼酎は80種で、ここへ来れば大抵の味わいは楽しめるといわれるほど種類豊富。そしてとんかつ。数あるメニューの中でも、ダントツの人気を誇る逸品が稀少種・梅山豚を使ったとんかつだ。「脂がとにかく美味。ナッツのような香りがあります。合わせるならこれがお薦め」と店主の小久保茂紀さんはポン、ポンと数本の酒を提案。酸で脂を

自然坊

 初代の笹本伸爾さんが、成城学園前の住宅街に佇む名店〈とんかつ椿〉(p.87)に憧れ、自身が生まれ育った大田区の住宅街に出店。四半世紀が経った今では久が原を代表する店として地元民に愛されている〈自然坊〉。肉質がきめ細かく、脂に甘味があるという群馬県産やまと豚を、綿実油で揚げるとんかつは軽い仕上がりが特徴だ。
「とんかつは塩で味わってもらい、フルーティな味わいの『作』と合わせてもらうと面白いんですよ

かつ好

カウンターには、油の温度帯が異なる銅鍋が2つ。高温の鍋で衣を固めてから、中高温の鍋に移して肉を蒸し上げるイメージで揚げています、と静かに語るのは、店主・水上彰久さん。揚がったカツを上下に振って油を切る所作も、そのカツも美しく、立体的な衣は軽やかなのにジューシー!
〈かつ好〉という店名に聞き覚えのあるとんかつマニアも多いだろう。静岡で50年前に創業し、一時期恵比寿にも支店が。そこで働いていた水上さん