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とんかつ

ラード入りの油で揚げたサクッと衣が肝。

とんかつの店として名高いが、前身は赤坂にあった洋食店〈フリッツ〉。その名残か、とんかつ以外の料理も評判が高い。メンチカツにクリームコロッケ、カレーなど、どれもきちんと作られた丁寧な味。アジフライもしかり。熱狂的なファンを持つ隠れた名物である。
 まず、衣が旨い。粗めのパン粉をたっぷりとまぶし、しっかり色がつくまで揚げてある。かぶりつくとザクッと音がするほどの香ばしさだ。秘密はやはり“揚げ仕事”にあ

池尻 浅野/酒井商会

池尻 浅野

●池尻大橋

自家製の“つまみになる調味料”で飲ませる。

 コースの1品目、アラカルトでもオーダーできる前菜お任せ四品盛りは、例えば今ならモズクの酢の物に、旬の丸ナスのムース仕立て、鴨の脂と黒コショウを効かせたトウモロコシのすりながしなどが並ぶ。店主の浅野雅さんは和食一筋で歩んできたが、3年勤めた神泉〈ぽつらぽつら〉で洋の味を取り入れたつまみやワインに開眼。自らの店でもそのスタイル

アスリートの勝負メシ。

 1980年代のこと、早稲田大学ラグビー部の面々は、試合前日には、とんかつを食べる  と当時の雑誌で読んだ記憶がある。敵に「カツ」ってことですよ。いいね、このシンプルな発想! 単純な中学生はそれを真似て、試合やテストの前の日にとんかつを食べたなんてこともあったな。
 とんかつは、昭和を代表するいわゆる「勝負メシ」であったわけですが、いまはスポーツ栄養学が発達して、いろいろなものが勝負メシになってお

風流とんかつ 奥三河の味噌カツ定食

 もう随分前のことになるが、舞台の公演が近づくと毎日のように渋谷にあった〈花〉という喫茶店で台本を書いていた。僕は歩きながら考える癖があり、雨の降ってない日は家から渋谷まで片道1時間くらいかけて往復していたのだが、その頃から気になっていた店がある。
 つまり二十年近く気になっていた。それだけ気になるなら入れば良いのにと思われるだろうが、タイミングというのは中々合わないもので、もしかすると、お互い好

とんかつ檍のカタロースかつ定食

 週に一度はとんかつを食べる自分にとって、〈檍〉のカタロースかつとの邂逅は衝撃だった。革命には、多くの批判をはね返すビジョンや気概が不可欠というが、このとんかつにはそれを体現するのに充分なインパクトと論理性が備わっている。しっかりとした揚げ色の衣を纏った4㎝はあろう厚切り肉は、通常よりも幾分か薄くカットされ、箸で持つ度にぷるんっと震えるSPF豚ならではのピンク色の肉層には、溢れ出そうな肉汁が解き放

とんかつ山和の特ロースかつ定食

 全日本とんかつ連盟に加入し、食材にこだわりのある昔ながらの店。混むランチを避け、落ち着いた夜に行っています。箱根路(何故?)が描かれた暖簾の奥から、お肉を丁寧に調理する音がドスドス、揚げる音がカラカラと心地よく聞こえてきます。お皿を運ぶ時に触れないよう配慮されているのか、暖簾の片側だけ短くカットされているところに、几帳面さがうかがえます。ご夫婦で切り盛りされているのですが、名店にありがちな偉そう

平田牧場の金華豚ヒレかつ膳

 マガジンハウスの『ポパイ』web版でシティボーイに選んでもらっている私ですが、実は、一九七四年に山形県に生まれました。数年前、地元から母が上京したとき、一緒に食事に行ったのがコレド日本橋の〈平田牧場〉。〈平田牧場〉は山形県の会社なのですが、二人とも食べたことがありませんでした。めったにない母との食事なので、高級な「金華豚ヒレかつ膳」を注文。すると運ばれて来たのは、サクサクしたパン粉に、一口でかみ

とんかつ椿のあけび

 昨年は私にとってとんかつ元年とも呼べる年だった。
 白いご飯と揚げたてのかつを頬張るとお腹の底でエネルギーが渦巻く感覚がずっと続き、家事や仕事がやけにはかどることに、仕事の打ち合わせでとんかつ専門店に行った夜に気付いた。一人でさっと食べに行けるところもいいし、ケーキよりも即効性があって、焼肉よりも気負わなくて済む。暇を見つけてはガイドブックに載っている店をせっせと巡っていた私に「実家の近所に、そ