キーワード

平安時代

三日月宗近、時を超えて。

どこか遠く、高い場所から世界を眺めているような、不思議な立ち位置のキャラクターとして、その刀は「再生」した。三日月宗近――刀としての名称は《太刀 銘 三条(名物三日月宗近)》。平安時代中期、山城(京都)鍛冶の祖とされる三条派の刀工、宗近によって打たれた太刀で、焼き入れを施した、鎬造(*1)の湾刀として日本刀が完成した、ちょうどその時期の作と考えられる。東京国立博物館の所蔵にかかる刀剣の中でも、屈指

大山天狗

鳥取の民話を基にした土人形として有名だったれんべい人形。以前、この連載でも紹介させていただきましたが、その後、職人の加藤簾兵衛さんが亡くなってしまい、廃絶してしまいました。近年、鳥取の有名な郷土玩具は次々に廃絶しており、ついに伝統的な土人形を作る人がいなくなってしまったのです。そんな中、れんべい人形のファンで、鳥取の土人形文化の断絶に危機感を抱いた壽美剛さんが、鳥取の民話を基にした土人形を新たに作

個を超え、思わぬ場所へ連れ出す花。|川瀬敏郎

「さあ、何でもお訊きになってください。何も期待していませんので。いわば幼稚園児みたいな身体の人に何か話しても、理解できないですからね。意味ないんですよ、申し訳ないですけれど」
 ははは、と爽やかに笑いつつ、「当代随一の花人」と呼ばれる人にそう促されれば、凡夫はひるんで立ち尽くすほかない。窮した揚げ句の愚問、の機先を制して「助け舟」が出された。

「多くの皆さんはおそらく、花というものの観点がわかっ

盛って描くかリアルを残すか、 男たちの顔面決戦。

平安時代、礼拝や尊崇の対象として描かれたのが貴人や高僧の肖像画。やがて写実的な墨描きポートレート「似せ絵」を経て、中世には天皇や武士など権力者の肖像が描かれ始めた。
 時の大物の絵とあらば、求められたのはリアルな姿より、本人や発注者にとっての理想像だろう。抑えた表現で気品と威厳を描き出した《伝源頼朝像》はいかにも人格者に見える。《鷹見泉石像》は、蘭学の弟子(渡辺崋山)が師匠(泉石)を描いたものだか