村上小説の妄想食卓「名刺サイズの上品なサンドイッチ」

きりりと角の立ったサンドイッチ、ぴったりのタイミングでゆで上がるパスタ、グラスに注がれるウイスキー……。そそる「食」のシーンもまた、村上作品の魅力だ。印象に残る名シーンをぎゅっと詰め込んだ食卓はどんな風景になるのだろう。時代背景や前後の文脈をじっくりと読み込んで具現化した「妄想食卓」へようこそ。

Photo: Satoshi Nagare / Styling: Tomomi Nagayama / Cooking: Shizue Ota / Text: Sawako Akune / Edit: Masae Wako

『ダンス・ダンス・ダンス』上

こういうところでサンドイッチを注文すると名刺くらいのサイズの上品なハム・サンドイッチが大きな銀の皿に四つもられて出てくる。
ポテト・チップとピックルスが芸術的に配されている。

名刺サイズの上品なサンドイッチ

「名刺サイズの上品なサンドイッチ」

主人公の記憶からは程遠い、26階建ての堂々たる建物に変貌を遂げていたホテルへと足を踏み入れた際の描写。小さめの「名刺サイズ」に几帳面に切り揃えた、いかにも上品なサンドイッチに合うのはぴかぴかのシルバーのプレート。ピクルスも同様に形の揃った小ぶりのものがピックに刺してあるはず。添えるグリーンがレトロにパセリなのも、ホテルの雰囲気から連想。