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老舗からニューウェーブまで、数時間で全店制覇!銀座木挽町で愛されるおいしい4軒

路地裏に佇む老舗のどら焼き店から日本ではまだ珍しい韓国料理のプゴクまで、店主の顔が見える美味しい4軒。どれもほっこりと優しい味がするのは、この地に根ざす人情味のせいだろうか。

photo: Jun Nakagawa / edit: Naoko Sasaki

木挽町よしや

ほんのり甘い小ぶりのどら焼き
今年100年を迎える老舗の味

歌舞伎座にほど近い路地裏に1922年創業以来、その味を守り続けているのは2代目店主の中村良章さん。「あんこを仕込んで、皮を焼いて、焼き印を押して、包む。先代から作り方もお店の包装紙も変わっていません」。粒あんに使うのは北海道産の小豆、皮には小麦粉、卵、砂糖と蜂蜜入り。

皮を焼く鉄板は一度に12枚、多いときには1日1000個を焼き上げる。「朝4時起きです。日持ちがしないですし、出来立てを食べていただきたいですから。でも焼き立てよりも、少し置いた方があんこと皮が馴染んで一段と美味しくなるんですよ」。素朴な甘さの小ぶりなどら焼きは、一度に2〜3個は食べられそうなすっきりとした美味しさなのだ。

よしやと言えば、オリジナルの焼き印を作れることでも有名。企業名から役者名まで、その数およそ7000本に上る!「“マンチェスター・ユナイテッド”なんてのもあります(笑)。宝塚の女優さんは焼き印を作るとトップスターになるというジンクスがあるようで、だから、新人が作ると先輩に怒られるらしい(笑)。

初期は鋳物で作っていたのですが、時間も手間もかかるため現在ではキャストというものに。焦げる面は少し苦くなるので、少ない方が美味しくできる。それでブルータスさんのも白抜き文字にしたんです」。焼き印を管理するのは3代目となる斉藤大地さん。老舗の味はこれからも受け継がれていく。

チョウシ屋

揚げたてに甘辛ソースが絶品
コロッケパンとハムカツサンド

1927年に創業したチョウシ屋は、コロッケ、ハムカツ、メンチ、とんかつの揚げ物とサンドイッチが人気の店。お客さんが来ると「おかずですか?サンドイッチですか?」と声をかけるのは3代目として店頭に立つ阿部光雄さん。

サンドイッチは注文が入るたびにその場でパンに挟んで仕上げる。「一番出るのはハムカツサンド。石川県金沢の天狗ハムさんのボンレスハムは四角いので食パンに挟むのにちょうどいい。食パンとコッペパンは江戸川区平井のサンワローランから仕入れています。

マガジンハウスさんとは木挽町の頃からの長いおつきあいで、平凡出版(前社名)で領収書もよく書いていましたよ」。

もう1つの人気メニューがコロッケパン。だが、最近は心配事がある。「コロッケの作り方も商売の仕方も、祖父の時代から全く変わっていません。じゃがいもを生かしたシンプルな味付けだから素材が大切。

北海道や長崎の有機栽培のものを仕入れていますが、北海道は米を作るような気候になってきて、今年は大雨の影響もあり、今後の入荷の目処が立っていないんです。納得のいく品が手に入らなければコロッケは作らない。今年はいつまでできるかなあ……」。温暖化の波は東銀座の台所にも押し寄せていた。

たらちゃん

二日酔いに美味しい韓国スープ
朝7時から開店してます!

2021年12月にオープンした〈たらちゃん〉は、韓国家庭料理のプゴクというタラの干物を使ったスープを出すお店。店主の高 潤美さんは日本で生まれた在日韓国人。「プゴクは祖母がよく作ってくれた料理だったのですが、ソウルの専門店で食べたときの美味しさに衝撃を受けまして(笑)。日本にもぜひ紹介したいとお店を開きました。

日本人の味覚にも合うように、ベースの出汁は煮干しと昆布と鰹節にアレンジしています」。ふんわりと卵でとじた滋味溢れるスープに、数種の副菜とご飯がつく。白菜とねぎのキムチ、大根の水キムチ、アミの塩辛の薬味も全て手作りだ。「お仕事の前やランチでも気にせず食べていただけるように、ニンニクと唐辛子を少し控えめにしているんですよ」

モダンな店舗はニューヨークのデザイン事務所に依頼したもの。「以前、飲食店の備品コーディネーターをしていたときにインターン先で知り合いました。韓国の文化を取り入れたくて、ランプシェードはキムチの壺を模したもの、カーテンや鏡は国旗の柄がモチーフ。

朝7時から営業を決めたのは、プゴクが二日酔いの酔い覚ましにぴったりだから(笑)。ランチは女性客が多いですが、男性もハマると週に3〜4日いらっしゃる方も。もっと美味しくできるように日々改良を重ねています」。入り口の券売機はキャッシュレスだが、土地柄、年配のお客さんも多いため、現金にも対応してくれるそうだ。

BONGEN

東銀座の町並みに馴染む
和洋折衷のコーヒースタンド

銀座2丁目の路地裏に2017年末にオープンした〈BONGEN〉。暖簾をかけた和菓子屋のような店構えと奥に鎮座する見事な盆栽がトレードマークだ。オーナーの白石航さんはスタイリストからコーヒーの道に進んだ異色の経歴の持ち主。

「繁華街から近いのに下町風情が残るこの土地柄に惹かれたんです。近隣の方にも愛される店にしたくて町に馴染む和風の店舗に。盆栽は自分のコレクションから樹齢70〜120年のものを選んで週1回入れ替えています」。

「コーヒーはスッキリとした雑味のない豆を中心に、フレッシュなものを飲んでもらえるように少量ずつ自社で焙煎してお店に出しています。中でもウガンダ産の自然栽培の豆は他にはない珍しい品種でおすすめ。一番人気は「BONGEN LATTE」。エスプレッソの割合が通常の2.5倍なのですが、苦味のない深い味わいで飲みやすい自慢の一品です」。

スイーツのくるみ最中やあんこ最中もコーヒーに合わせて作ったオリジナル和菓子。隠れ家のような和の空間で一味違うコーヒータイムを楽しんでみてはいかが?