
地球が描く、至高の芸術。ファインミネラル図鑑

ガラス光沢を持つブルーのフローライトに、星のようなカルサイトが共生している標本。アメリカ・イリノイ州で産出していたブルーは特に人気が高い。現在は閉山しており、稀少となっている。43×58×32mm。
Fluorite(フローライト)とは?
フッ素カルシウムからなるハロゲン化鉱物で、紫外線ライトを当てることで蛍光を発するものがある。グリーンからピンク、パープルにブルー、イエローまで、ない色がないと言われるほどのカラーバリエーションが特徴で、日本はもちろん、海外での人気もトップクラスだ。

不透明で鮮やかなブルーで産出することで知られる。これは空洞内に真っ青な結晶が広がる標本で、まるでベルベットのような質感に見えるが、実際はもちろん硬い。39×30×24mm。
Shattuckite(シャッタカイト)とは?
アメリカ・アリゾナ州のビスビーにある世界的に有名な銅鉱山、シャタック鉱山がその名の由来。銅の二次鉱物であるマラカイトの仮晶(鉱物の結晶の形状が保たれたまま、中身が別の鉱物に入れ替わり、本来とは異なる形状になったもの)として1914年に発見された。

炎をそのまま結晶化したような標本。このような透明で犬牙状の結晶が1960年代に南アフリカで産出して以来、それまでも高かったロードクロサイト人気がさらに過熱し、現在に至っている。41×30×26mm。
Rhodochrosite(ロードクロサイト)とは?
炎のようなレッドや桜の花びらのような淡いピンクまで赤を基調とした発色をする鉱物。特に南アフリカで発見された深紅で透明感のある牙のような結晶(犬牙状結晶)はコレクター垂涎の標本。学名の語源となったローズピンクの結晶標本が産出するルーマニアなど産地によって様々な結晶が楽しめる。

アクアマリンとオレンジレッドのスペサルティン、クリアなクォーツがバランス良く共生しており、まさに鉱物標本の鑑のよう。スペサルティンもガーネットの一種で、宝石鉱物同士の組み合わせに。66×68×61mm。
Beryl(ベリル)とは?
ベリルはその色の要因となる含有物によって呼び方が変わる。例えば、鉄を含むブルーのものはアクアマリン、クロムを含むグリーンのものはエメラルドとなる。つまり、アクアマリンもエメラルドも同じ「ベリル」という鉱物なのだ。透明感があり硬度も高いことから宝石として加工されることも多い。

漫画『宝石の国』の主人公として、一気に人気に。モース硬度は3~3.5、しかも全方向へと割れやすく、脆く美しい結晶としても知られる。美しい結晶を産出したボリビアの鉱山は現在閉山。15×14×10mm。
Rare Mineral(レアミネラル)とは?
鉱物標本の収集においてなかなか出会うことの少ない、特に稀少な鉱物たち。日本では、漫画『宝石の国』にかなりマニアックな鉱物が登場したことでも注目され、こうしたレアミネラルが世界中から集まるようになったため、幸運にも比較的入手がしやすい環境となっている。

ツメブ鉱山の代表的な鉱物の一つ。メインの柱状結晶を含めてそのほとんどが透明感のある結晶となっている良標本で、ツメブ鉱物の有名なコレクター、ジョン・シュナイダーが所有していたもの。30×24×17mm。
Tsumeb Mine(ツメブ鉱山)とは?
アフリカ南西部に位置するナミビア共和国にあるツメブ鉱山。これまでに300を超える鉱物種がここから発見されており、「博物館のような鉱山」と言われ、鉱物収集の世界では最も有名かつ人気のある鉱山の一つ。ツメブ産の鉱物標本のみを集めるコレクターもいるほど。

数あるブラジルのトルマリン鉱山の中でも特に評価の高いミナスジェライス州のジョナス鉱山から産出した宝石質の結晶。レピドライトとのコントラストが美しい。48×45×30mm。
Tourmaline(トルマリン)とは?
トルマリンは一つの鉱物グループのため、その主成分によって細かく区分されるが、カラフルで宝石質なものはほとんどがリチウムを多く含むエルバイトであることが多い。さらに含まれる細かな成分によって色は変化し、同一結晶内に異なる2色が出るバイカラーや複数色出るマルチカラーなどもある。

上部で黒い金属光沢を見せるのがヘマタイト、オレンジの結晶がウバイト、透明な結晶がクォーツという構成の共生標本。ヘマタイトの和名は「赤鉄鉱」で、砕いて粉状にすると赤錆色になる。34×38×22.5mm。
Metallic Minerals(金属鉱物)とは?
「金属鉱物」という鉱物学上の定義があるわけではないが、ここでは金属を主成分とする鉱物や金属的な光沢を見せる鉱物を紹介。宝石質の結晶鉱物に人気が集まる傾向はあるものの、金属鉱物特有のギラリとした光沢に魅せられるコレクターも実は少なくない。

母岩の石英をうまく処理し、馬に乗ったナイトがその母岩の上を駆け抜けていくような形に広がる自然金の標本。金の結晶はこうしたユニークな見立てができる結晶の形が珍重される。38×26×15mm。
Native Gold(自然金)とは?
ゴールドの産出は、砂金と、鉱山で採れる山金に分かれ、砂金の中でも大きなものはナゲットと呼ばれる。産地独特の産状を示す標本や、何かの形状に見立てができるものが人気が高い。標本となる自然金は純粋な金ではなく、銀などほかの鉱物が混ざっていることがほとんどである。

流紋岩の中の丸い凝灰岩ノジュールの中から発見された、エチオピア産オパール。エチオピアは近年、オパールの新産地として注目されている。見る角度によって異なる色が現れる遊色が美しい。55×50×28mm。
Opal(オパール)とは?
数ある鉱物種の中でもオパールは結晶しないアモルフォス(非晶質)という性質を持った特別な鉱物である。遊色効果と呼ばれる、見る角度や光の入り方によって異なる独特の光彩や色が揺れ動くさまは格別に美しい。貝や恐竜の化石がオパールになることもあり、人気の高い鉱物の一つだ。

コランダムは本来無色で、別の元素が混ざることでその色を変化させる。その中で、赤いコランダムが「ルビー」と呼ばれる。宝石として加工されがちなので、美しい標本が市場に出てくるのは珍しい。45×24×23mm。
Gem Stone(宝石鉱物)とは?
ベリルやトルマリンなどのジェムストーンも良いが、そのほかの宝石鉱物たちの原石も美しい。特にコランダムは、美しいうえモース硬度9と非常に硬く、装飾品として非常に使いやすいため人気が高い。赤いものは“ルビー”、そのほかのものは“サファイア”と呼ばれ流通している。

スイスやその近郊は昔から美しい水晶を産出することで有名。中でも世界的な人気なのが「グインデル」と呼ばれるタイプ。結晶する際に平行に積み上がっていく過程で徐々にずれ、ねじれて見える。50×49×20mm。
Quartz(クォーツ)とは?
鉱物標本収集の世界では、「水晶に始まり水晶に終わる」とも言われる。無色透明なもの、色がついたもの、結晶内に内包物が見られるもの、形状が独特なもの……と、その幅はとにかく広い。日本でも各地で産出するが、採集を禁止している場所も多いので注意が必要だ。