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珍奇鉱物図鑑「金属鉱物」5種を紹介。結晶とは一味違うメタリックな輝きの魅力

透明感のある宝石質で美しい鉱物が、自然界に存在するありのままの姿。本来の結晶の様子や、他の鉱物と共生することで織り成すその景色は、まさに自然が生み出す芸術だ。その中でも特にハイクオリティな標本“ファインミネラル”たちを集めてみた。

photo: Tetsuya Ito / text: Shogo Kawabata / special thanks: PEANUTS MINERALS, USK MINERALS, private collectors

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Metallic Minerals(金属鉱物)とは?

「金属鉱物」という鉱物学上の定義があるわけではないが、ここでは金属を主成分とする鉱物や金属的な光沢を見せる鉱物を紹介。宝石質の結晶鉱物に人気が集まる傾向はあるものの、金属鉱物特有のギラリとした光沢に魅せられるコレクターも実は少なくない。

パイライト
Pyrite

パイライト
まるでゴールドのような輝きを持つことから「愚者の金」とも呼ばれる。人工物のようなシャープな形状の結晶が特徴で、多産なこともあり、入門向け鉱物としても人気だ。30×42×34mm。

ヘマタイト
Hematite

ヘマタイト
母岩上に広がる金属光沢を持った黒い鉱物がヘマタイトで、バラの花のように螺旋状に結晶しているものは“アイアンローズ”と呼ばれ珍重されている。アイアンローズが母岩一面に晶出した標本。20×80×40mm。

スファレライト/ボーノナイト/パイライト
Sphalerite on Bournonite with Pyrite

スファレライト/ボーノナイト/パイライト
鼈甲色のスファレライト、金色部分がパイライト、鈍色の塊がボーノナイトという共生標本。透明度の高いスファレライトをカットするとダイヤモンド以上に輝きを見せる。42×55×26mm。

ブルッカイト
Brookite

ブルッカイト
金属鉱物ながら、透過光で現れる模様が美しい標本。ブルッカイトは二酸化チタンを成分としており、同じ二酸化チタンを成分とするルチルやアナテースとは結晶構造が異なる同質異像関係の鉱物。30×18×30mm。

ヘマタイト/クォーツ/ウバイト
Quartz on Uvite with Hematite

ヘマタイト/クォーツ/ウバイト
上部で黒い金属光沢を見せるのがヘマタイト、オレンジの結晶がウバイト、透明な結晶がクォーツという構成の共生標本。ヘマタイトの和名は「赤鉄鉱」で、砕いて粉状にすると赤錆色になる。34×38×22.5mm。

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