突然ですが、問題です。毎月どのくらいの数の新作カプセルトイが発売されているでしょう?
正解は約500種類。多い月では700種にも及ぶという。2020年から増え始めたカプセルトイ専門店数は全国約1500に上り、新進メーカーも続々登場。かつてカプセルトイを製作し、現在は『ガチャガチャ展』などを手がける小野尾勝彦さんを案内役に、ますます盛り上がるその現場を探ろう。
小野尾勝彦
業界の盛り上がりとともに、新世代の作り手たちが増えてきています。今回はまさに今現場に立つみなさんに集まっていただきました。まずは、普段なかなか聞くことができない「作り方」を教えていただけますか?
冨田真緒
〈ブライトリンク〉では週に1度、10人ほどで企画を持ち寄って打ち合わせをしています。それぞれ10ポイントずつ持ち点があって、7割以上の得点を得たら採用です。動画やキャンペーンも盛り込み、商品だけでなく体験としても楽しんでもらえるように心がけています。
小野尾
〈ブライトリンク〉はSNSにも力を入れてますよね。アーティストとのお仕事が印象的な〈スタンド・ストーンズ〉の深堀孝徳さんはいかがですか?
深堀孝徳
好きな作家さんの作品を世に出したいという熱意が第一です。フィギュアの製作は半年から1年弱ほどかかるものですが、ずっと好きなアーティストさんと仕事ができるので苦になりません。
蒲地加代子
私たちも、作るときに“アガるかどうか”を大切にしています。イラストレーターで陶器なども手がけるHONGAMAさんの陶器のコレクションなら、表面につるんとした加工を施すだけでなく、底に素焼きのざらつきを表現するほどこだわって。底は普段は見えないんですけどね(笑)。
3人の作り手の一作
進化を続けるカプセルトイ。そのトレンドとは?

小野尾
実物に触れば、作り手の熱量がしっかり感じられます。みなさんが面白いと思うカプセルトイにはどんなものがありますか?
蒲地
愛してやまないのは〈キタンクラブ〉のタローマンシリーズ。自宅とオフィスにずらっと並べています(笑)。造形も素晴らしいうえに、映画『大長編 タローマン 万博大爆発』のスポンサーをやり、ソフビも作り……と、その幅はメーカーの域を通り越していると思います。
深堀
僕はギミックに惹かれます。〈いきもん〉の《カニタマ》や〈トイズキャビン〉の《カニカンメカ》などですね。変形するときの動きも気持ちよく設計されています。500円でこのクオリティのものができるのかと。
小野尾
どっちもカニ(笑)。でも、500円でダブっちゃうと辛いところもありますよね。昔、『ウルトラマン』のガチャで11回連続メフィラス星人が出たときは、妻にやめなさいと呆れられました(笑)。
冨田
ダブったら社内で交換したり、クリスマスツリーに飾ったりします。メフィラス星人はツリーに向かないかもですが(笑)。〈ターリン・インターナショナル〉の《カプセルホテル》など、カプセルそのものを鑑賞できるものはつい感動します。
小野尾
カプセルレスはバラエティが増えてきましたね。〈バンダイ〉が発表した《だんごむし》シリーズは業界を震撼させました。カプセルはなく、丸まった状態で出てきて、開いたらリアルなダンゴムシになるという。
深堀
最近はぬいぐるみも魅力的なものが増えてきました。〈クオリア〉の《なつかない猫》はネーミングも素敵です。
小野尾
カプセルトイもさらに進化を続けていますよね。次に狙っているジャンルなどはありますか?
深堀
僕は失敗談なのですが……。ファミレスの猫型配膳ロボットってあるじゃないですか?あれをカプセルトイにしたいと思って問い合わせしていたのですが、ついに叶わず。気がついたら他社から発売されていました。苦い思い出です。
冨田
私は20〜30代の同世代の人たちが触れてきたアニメや漫画のキャラクターをフィギュアにしたいと思って何度も企画書を送っています。でもなかなか難しいですね。それこそ〈ケンエレファント〉が発売した『ハッチポッチステーション』のコレクションは、やりたかった!と思いました。
蒲地
私がずっと狙い続けているのはメゾンブランドとのコラボレーションです。毎年諦めずにアタックしています。
小野尾
さすがですね。近年は欧米でガチャの要領でシューズが発売されたりと、カプセルトイカルチャーの影響を受けている海外のアーティストが増えてきていると感じています。そういう意味では、メゾンとのコラボが実現する日もそう遠くないかもしれませんね。




