ヘアスタイリスト・矢口憲一に聞く、大人にふさわしい清潔感の作り方

年を重ねると、髪の乱れや肌トラブルなど、若い頃より気を使うことが増えてくる。大人に必要な清潔感を作るためには、何を使い、どう整えればいいのか。本誌でもお馴染みのヘアスタイリストの矢口憲一さんにヒントをもらった。

photo: Taro Hirano / text: Keisuke Kagiwada

ナチュラルな清潔感は細部に宿る

美容室とは、読んで字のごとく容姿を美しくするための施術を提供する場所のこと。しかし、矢口憲一さんが営む〈富士見坂 矢口〉はさにあらず。外側はもちろん、内側まで美しく、清潔にしてくれるのだ。それを象徴するのが、個室のシャンプー台で行われる「シロダーラ」にほかならない。

「要は瞑想に用いられる、インド発祥の約5000年続く伝統療法ですね。おでこの中心に、液体をつーっと垂らし続けるという。スリランカだと薬草をブレンドしたゴマ油を使用するのですが、うちでは100%のハーブ水を使います。これは肌にもいいので、トリートメント効果も期待できる。

それを15分から20分くらい続けると、サウナと水風呂を繰り返して外気浴をしている時のように“ととのう”ので、時にはお花畑が見えることも(笑)。外見の前にまずは心の乱れを整えることも清潔感作りには必要。エステには行きにくいと感じる男性にこそ、『シロダーラ』を試してほしいです」

とはいえ、いきなり施術に入るのではない。まずは疲労などによって滞った脳脊髄液を循環させるマッサージを行い、体がほぐれたらいざ「シロダーラ」へ。モデルを務めてくれた美術制作の松本千広さんに体験してもらうと、「不思議な感覚だったけど、リラックスはできた」とのこと。

内側が清潔になったら、次は外側へ。そこで矢口さんが取り出したのは、総合美容メーカー〈エレクトロン〉のデンキバリブラシだ。

「ピンヘッドから流れる低周波で、頭皮や顔の筋肉に刺激を与えることで、リフトアップなどが期待できるんです。これは撮影仕事の時にもよく使っていますね。結構効果があって、二日酔いでむくんだ顔も引き締まるんですよ」

確かに、午前中の撮影のせいか、疲れ気味だった松本さんの輪郭がシュッとしたように見える。

その人らしさを生かすためやりすぎないことが大事

実は「シロダーラ」の前にカットは終わっていたのだが、毛先を整えるくらいでほとんど手を入れていないように見えた。そこにこそ矢口さんのこだわりがある。

「がっつり刈り上げたりすれば、清潔感を演出することはできるのかもしれません。でも、それだと本来のその人らしさが失われてしまうじゃないですか。個性は人それぞれだから、髪形に関して言えば、一概に“こうすれば清潔感が出る”とは言いにくいのですが。

実際、長髪だって不潔に見えない人もいますからね。だけど、サイドがもわっとしてるとあんまりよろしくないので、そこを整えてあげる。僕としては、その人の個性を残しつつ、スッキリ感をナチュラルに表現できたら、一番いいなと思っているんです」

ヘアメイクアップアーティスト・矢口憲一、美術制作・松本千広

ナチュラルなスッキリ感は、髪形ではなく細部に宿るわけだ。

「松本さんは眉毛が薄かったので少し描き足しました。今は眉毛の毛流れをパーマで変えることもできるので、長さやクセを調整するとか、髪に潤いがないならスタイリング剤でちょっとツヤを加えてあげるとか、そういう細かい調整が、その人らしい自然な清潔感につながっていく。ただ、いずれの場合もやりすぎないことが肝心だと思います」

やりすぎないこと。それは髪形のスタイリングにも当てはまる。

「今回は長野の〈ワイルドツリー〉のバームを全体に馴染ませて動きをつけただけです。これだけでもいいけど、前髪を固めたいなら〈TRENDSTARTER〉のポマードを。バームはオーガニックのものだから、リップや肘なんかにも使えます。使用後に手を洗わず、どこかに塗り込めばいいので、僕みたいな面倒くさがり屋の男性におすすめです」

美術制作・松本千広
松本さんの強烈な個性を生かしつつ、襟足をやや重めに残し、前髪をふんわりと立ち上げたソフトリーゼントに仕上がった。

清潔感のためのコスメ

デンキバリブラシ、〈ワイルドツリー〉バーム
〈ワイルドツリー〉のバームは店で購入可。店ではデンキバリブラシを使うオプションあり。

ヘアメイクアーティスト・AMANOに聞く、大人にふさわしい清潔感の作り方

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