Eat

Eat

食べる

〈スリマンガラム〉〈三燈舎〉〈南印度料理タミルナドゥ〉東京の混ぜるカレー13選 Vol.3

次世代を担う大阪スパイス系からインド、ネパール、スリランカまで、「混ぜるカレー」シーンの最前線を取材。全部10店から3店をピックアップ。「〈ハルダモンカレー〉〈スパイスポスト〉〈MANTRA〉〈ゴーダカフェ〉東京の混ぜるカレー13選 Vol.2」も読む。

Photo: Naoki Tani, Yasufumi Onda / Text: Yuko Saito, Kei Sasaki

スリマンガラム(経堂)

目が覚めるような香りと辛味!
インド南部注目エリアの郷土料理

今や日本のカレーの一大潮流となった南インド料理だが、〈スリマンガラム〉は、南東部チェティナード地方料理に特化したシーンの最精鋭。厨房に立つのは同地方の出身で、清澄白河〈ナンディニ〉等の人気店を率いてきたテーヴァン・マハリンガムさんだ。

味作りの最大の特徴は、リッチな食材使いにある。ホールスパイス、フレッシュハーブを惜しげもなく使ったカレーは、南インド特有の「さらりと優しい味わい」とは一線を画すパンチの強さ。ミールスに並ぶサンバルやラッサム、カーラコロンブなども酸味、辛味、甘味の輪郭がくっきり。

砕いたアッパラムやヨーグルトなどとともにライスに混ぜ合わせることで、味のみならず見た目、テクスチャー含め混然となった渦が出現し、五感が覚醒する思いだ。チェティナード地方ではチェティアールという商人が世界で商いをし、富とともに各地の食材やスパイスを土地に根づかせたといわれる。インド随一ともいわれる食文化の一端を、ミールスで味わうべし。

カーラコロンブ:南インド産の唐辛子の辛味が刺激的な野菜カレー。フレッシュなカレーリーフの香りも豊か。
クートゥ:辛さや香りは穏やかな、豆と野菜のポタージュ風カレー。ムング豆やヒヨコ豆を使用。煮込んで甘味を引き出す。
ラッサム:黒コショウを効かせたトマトベースの酸っぱいスープ。
サンバル:南インド定番の酸味のあるカレー。豆と野菜がたっぷり。
ポンニライス:ベタつかず、香りも穏やかな、南インド米・ポンニライス。
アッパラム:豆の生地で作るせんべい。クリスピー。
パヤサム:ココナッツ風味の甘いデザート。
レモンピックル:レモンのピクルス。酸味と発酵由来の旨味がしっかり。味わいのリズムに。
ポリヤル:野菜の炒め蒸し。この日はビーツで。
ヨーグルト:タマリンドとは異なる酸味と、コクをプラス。

シェフ/マハリンガムさん
シェフのマハリンガムさん
【オススメの食べ方】
1)カーラコロンブ、クートゥ、サンバル、ラッサムを少しずつライスにかけ、単品で味わってから混ぜます。
2)砕いたアッパラムや野菜を混ぜ、クリスピー感と甘味を加えます。
3)ピックルやラッサム、ヨーグルトなど酸味のあるものを加えます。パヤサムは食後にどうぞ。

三燈舎(神保町)

ケララ出身のシェフが作る優しく洗練された味わい。

店主は、インド料理好きが高じてインテリア業界から飲食の道へ転身した堀文子さん。シェフはケララ州出身のトーマスさん。共に南インド料理専門店の先駆〈ダバ インディア〉で働いた仲間。

カレーの町、神保町にありそうでなかった南インド料理店が昨年オープンして話題を呼んでいる。南インドの中でもトーマスさんの故郷、ケララ州の味にフォーカスし、ミールスとティファンと呼ばれる軽食をメニューに揃える。ミールスは、サンバル、ラッサムにチキンカレーと魚のカレー、野菜料理が付く。

「南インドの中でも、油脂は控えめで、酸味や野菜の甘味を感じるのがケララ州の料理」と、堀さん。食べて納得。穏やかで軽快なのに、余韻が長く続く味だ。

サンバル:サラッとしていて、野菜の甘味がしっかり。
ラッサム:フレッシュな酸味が生きた、キレのある味わい。
トーレン:野菜のスパイス炒め。この日はキャベツとビーツで。
魚のカレー:魚は時季替わり。写真はサバ。輪切りのサバが煮崩れせず、軟らかに火が通っていて、ほのかな酸味がある。
チキンカレー:グレービーなチキンカレー。針ショウガがアクセント。
バトゥーラ:バターを練り込んだ発酵生地で作る揚げパン。豆入り生地を薄く焼いたドーサもあり、好きな方を選べる。

シェフ/トーマスさん
シェフのトーマスさん
【オススメの食べ方】
1)細かく割ったパパド、トーレンをライスにかけ、ベースを作ります。
2)混ぜる時は味がシンプルなものから濃厚なものへという流れで。まずサンバル、ラッサムをスープとして味わい、ライスにかけましょう。
3)魚のカレーやチキンカレーなど濃厚なものを加え好みの味にします。

南印度料理タミルナドゥ(目黒)

バナナリーフにサーブする本格派、有機食材の贅沢なミールス。

インド南東部、タミルナドゥ州の名を店名に掲げ、同地の伝統食文化を伝えるべく2019年3月にオープン。必食はディナーの「オーガニックヴェジタリアンミールス」。すっかりポピュラーになったミールスだが、テーブルにセットされたバナナリーフに料理を一品ずつサーブするスタイルは稀で、食べる前から気分がアガる。

プリイェル、クートゥ、ワダ、チャトニは各2種、デザートまで全16品という豪華さで、野菜は国産有機栽培が中心、ハーブ、スパイスはインドからと食材もとびきり。経験豊かなインド人シェフによる料理は、野菜の火の通し加減から塩、油脂の量まで素材の味を引き出す仕事が確かだ。インド産自然派ワインとともに、スペシャルな一食を。

ラッサム:味の土台を作るラッサム。
サンバル:サンバルとバスマティライスは、無料で追加オーダーできる。
クートゥ:タミル伝統の野菜料理・クートゥはドライなスタイル。右が大根、左がニンジンとホウレン草。
プリイェル:ココナッツとスパイスを使った野菜炒め。右がインゲン、左がジャガイモ。使用する野菜はすべて時季替わり。
ポティとギーオイル:自家製ギーオイルのリッチなコクがさらに味を深める。
チャトニ:ココナッツとトマトベース。ワダにも合う。

右 シェフ/プシュパラジさん 左 スーシェフ/クマールさん
(右)シェフのプシュパラジさん、(左)スーシェフのクマールさん。
【オススメの食べ方】
1)バスマティライスにラッサムを半量程度かけて置き、ライスが水分を吸ってしっとりするのを待ちます。
2)待っている間にワダをつまみます。
3)ラッサムを染み込ませたライスに、味の穏やかなサンバルからスタートして、クートゥ、プリイェル、チャトニを少しずつ混ぜ、好みの味に。