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スパイシーアフリカンチキン マカオ風、フィッシュヘッドカレー、大山鶏ココナッツカレーライス、ソトアヤム。国境を越えて、カレーはおいしくなる vol.3

インドから飛び出したカレーは、アジアはもちろん、海を渡って世界各国の食材と結びつき独自のローカル料理として根づいた。イギリスから日本に渡ったカレー粉がうどんと出会ったように、そのフレーバーは懐深くすべてを包み込んでくれる。国と国を混ぜてもおいしいカレーは世界を平和にしてくれるのだ。「国境を越えて、カレーはおいしくなる vol.2」も読む

Photo: Shin-ichi Yokoyama / Text: Yuko Saito

スパイシーアフリカンチキン マカオ風

アフリカを出発
インド、マラッカを回って辿り着いたマカオの味

マカオの名物料理が、アフリカンチキンとはいかに⁉
実はこれ、大航海時代のポルトガルを如実に物語る皿なのだ。「ポルトガル人の船乗りが、アフリカで出会った辛い鶏料理が原型とされ、征服したインド・ゴアのスパイスや、マラッカ王国の特産であるココナッツミルクが加わって、マカオに伝わったといわれています」と、〈Manuel CASA DE FADO 四ツ谷〉の中屋孝英シェフ。

今ではどのレストランにもあるが、その数だけ味があり、中華風も多いという。現地で食べまくって辿り着いたシェフのそれは、辛さ控えめ。トマトベースのカレーソースに、ココナッツミルクやピーナッツバターを加えてコクを出し、マリネしてローストした鶏肉にかけた欧州風味。

スパイシーアフリカンチキン マカオ風
スパイシーアフリカンチキン マカオ風¥2,200。国産の鶏モモ肉を使用。トマト風味のカレーソースには刻んだオリーブを散らし、クスクスを付け合わせに。

Column:マカオは、屋台の味にも、カレーが染み込んでいた

謎のストリートフード“カレーおでん”の噂を確かめにマカオへ。世界遺産に登録されている観光名所、セナド広場から少し歩いた大堂巷通りにカレーおでん店が軒を連ねる。どこもおおむねテイクアウト専門で、店先にお馴染みのおでん具材が並ぶ。注文時にまごつくと山のようなホルモンが勝手に盛られるので要注意。

おでんにかけるのは、いわゆる日本のカレールー。食べてみるといい意味で意外性はなく、謎というより至極まっとうなB級グルメ。ビールを片手に楽しみたいが、周囲にカウンターや座れる場所は少ない。皆、さっさと食べて去っていく。それがマカオ流なのである。(meCURRY® 五十嵐洋人)

ストリートフード“カレーおでん”

フィッシュヘッドカレー

中国人が好きな魚の頭を活用した
ケララ出身のインド人作

その名の通り、魚の頭がドンと入った豪快なカレーは、多様な食文化が混在するシンガポールならではの名物。「1940年代、ケララ州からやってきたインド人が、ケララでは捨てられてしまうことの多い魚の頭が、中国人に好まれるのを知って作ったそうです」と、店主の松本裕介さん。

店では鯛の頭を使用。ケララお馴染みのスパイスやタマリンドなどで煮込んだカレーは、魚のだしとタマリンドの酸味が生きた、ワイルドな見た目とは裏腹の繊細な味。

大山鶏ココナッツカレーライス

ココナッツミルク入りの
ほんとは甘いカレーライス⁉

ココナッツミルクを使った、ベトナム南部ホーチミン発祥とされるカーリ・ガー。鶏肉のカレーと言いつつ、「甘いんですよ、サツマイモや砂糖が入っていて」と、〈Stand Bánh Mì〉の白井瑛里さん。

大のベトナム好きなれど、「砂糖の甘さは好みじゃないので」と、白井流は、無農薬タマネギやパプリカ、有機ココナッツミルクで甘味を出し、大山鶏の旨味を生かした後味のいい仕上がり。現地ではパンも合わせるが、ここは鶏だしで炊いたジャスミンライスと。

大山鶏ココナッツ カレーライス
大山鶏ココナッツカレーライス¥960。有機ココナッツミルク、シナモンやクローブなどのスパイスを使っている。

ソトアヤム

スープカレーの元ネタになった
鶏肉のカレースープ

「ソトアヤムは、インドネシアの国民食。白いご飯に少しずつかけて食べると最高です。店では鶏肉、野菜と一緒に春雨も入れていますが、ビーフンも合います」と、〈CABE〉の店主、大平正樹さん。

札幌スープカレーブームの立役者、〈マジックスパイス〉がヒントを得たことでも知られる、鶏肉のカレースープだ。タマネギでカレーのベースを作るあたりはインドと同じだが、入れるハーブやスパイスはググッとタイ寄り。タイショウガやコブミカンの葉、レモングラスなどで風味をつけたスープは爽やかで、濃厚な味つけが多いインドネシア料理の中では、日本人好み。

特産の大きな赤唐辛子を使ったベースで作る、ココナッツミルク入りのグレと呼ばれるカレーもある。

Column:輸出一辺倒かと思いきや、中華を輸入したインド料理

カレーの遥かなる国境越えに、インド料理の底力を思い知るが、そんなインドに食い込んでいる料理もある。それが中華。西ベンガル・コルカタで中国系移民が作ったとされる、そのインド中華の波が、最近東京にもジワジワと。

そこでメニューの丸々1ページをインド中華に割く、御徒町の〈ベジキッチン〉に行ってみた。シェズワン=四川風もあるらしいが、とりあえず、インド中華を代表するといわれる、マンチュリアン=満州風ソースに挑戦。トマトケチャップとインド醤油が味つけのキモとおぼしき、ニンニクと唐辛子のパンチが効いた甘辛い料理は、中華か、インドかと問われれば、断然中華。

カレーというより、街中華に行きたい時に選びたくなる料理だ。

ベジマンチュリアンとフライドライス
ベジマンチュリアンと、それに合うと薦められたフライドライス。