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鍵は“縁側”⁉隈研吾が再構築するリスボンのアートセンター

日本に来て来て、あの店、このサービス!今回は隈研吾が再構築するリスボンのアートセンターを紹介。

photo: Pedro Pina/CGF, Fernando Guerra (Canon Ambassador), Joanna Correia / text&edit: Hiroko Yabuki

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3つのポイント

1.隈研吾が監修した新棟がこの秋オープン。
2.日本人アーティストのシリーズ企画展を開催中。
3.型破りなインスタレーションやプログラムも話題。

鍵は“縁側”⁉隈研吾が再構築するリスボンのアートセンター

リスボンの〈カルースト・グルベンキアン財団〉は、アルメニア人の慈善家・美術蒐集(しゅうしゅう)家、カルースト・サルキス・グルベンキアンの遺言により1956年に設立された、欧州有数の文化財団だ。

同財団により83年に開館した〈Centro de Arte Moderna Gulbenkian〉(CAM)は、12,000点を超える近現代美術品を収蔵。英国人建築家レスリー・マーティン卿の設計による建物は、同国有数のモダニズム建築として名高い。

その〈CAM〉が、3年にわたる大規模改修を経て一新。今年2024年9月にお目見えした新棟を監修したのは、ご存じ隈研吾だ。全長100mの“エンガワ”が来訪者の目を奪う。隈いわく、「建築と自然が調和するシームレスな融合」。日本の木造家屋の特徴である縁側特有の、外と中の間のような曖昧な空間を、西洋の文脈で再構築した。

オープニング展ではレオノール・アントゥネスやフェルナンド・レモスといった同地ゆかりの作家と並走し、日本のクリエイターを招致したプログラム「Engawa-A Season of Contemporary Art from Japan(エンガワ−日本現代アートの季節)」を展開。

来年にかけてはサウンドアーティストの森永泰弘や、3DCG作品で知られる渡辺豪らも参画している。ジャンルの枠を超えたプロジェクトの数々は、見事にエンガワのコンセプトを体現しているし、純粋に「観たい」と思わせる力がある。リスボンを訪れる大きな目的になることは間違いない。

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