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世界からお届け!SDGs通信 メキシコ編。海を漂う洗剤ボトルの削減に貢献する〈Luken Furniture〉

毎号、世界中から届いた旬の話題を紹介しているBRUTUS本誌の「ET TU, BRUTE? CITY」から出張企画。世界中の約30都市から、今一番ホットなSDGsに関する取り組みをお届けします。今回はメキシコシティから!

photo: Marta Kowalska / text: Miho Nagaya / edit: Hiroko Yabuki

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海を漂う洗剤ボトルの削減に貢献!
粋な心意気とデザインの家具メーカー  

メキシコシティを拠点とする建築家、工業デザイナーのパオラ・カルサーダは、2008年より自身のプロジェクトに廃材を再利用するなど、環境への配慮を心がけてきた。ある日、小さな息子のためのテーブルが必要になった際に、エコロジーな素材で屋外使用でき、子どもが手荒に扱っても耐えうる家具を作れないかと考える。

頭をよぎったのは、世界的な問題である廃棄プラスチックの海洋汚染。とりわけ再利用が困難とされる洗剤容器の原料、高密度ポリエチレンを粉砕し、溶かして固めたパネルで家具を作ることを思いついたパオラは、2015年に〈Luken Furniture〉を設立。

現在はキッズ向けのテーブルや椅子だけでなく、屋外向けのテーブルなどを販売。さらにレストランやオフィス、公共施設向けの家具を受注制作している。

色のバラエティは無限で、大理石やモザイクのような模様も作れる。家具は全てパネルの組み合わせからできていて、接着剤やネジも使わない。購入者は届いたパーツを組み立て、簡単に家具を完成できる。これまでに、181万以上の廃棄ボトルが家具に生まれ変わり、9.4トンのゴミを削減。

2020年には、より良い社会や環境を目指す会社に与えられる国際認証のPending B Corpを取得した。サステナブルな姿勢を新世代に受け継ぐ願いが込められた家具は、その心意気だけでなく、デザインも最高にクールだ。

代表のパオラと、創業のきっかけを与えた息子
代表のパオラと、創業のきっかけを与えた息子。

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