栗が好きでたまらない、藤森先生の秋の栗時間。|藤森照信

 いわゆるケーキ系はそんなに好きじゃないです。だってあれ、ガーンとくるからね。一大決心がいる。和菓子をちょっとつまむくらいが、気分転換にちょうどいい。  僕はとにかく栗が好きでね。戦後、信州の田舎で育ったものだから、おやつってごく限られていて、栗と柿とクルミ、あと母の作る干しイモくらいしかなかった。栗は中でも高級だった。秋は落ちているのをそのまま食べてましたけどね。ほかの季節用にもゆでて干して保存

Pompon Cakes BLVD.

 鎌倉の移動ケーキ屋〈ポンポンケークス〉の立道嶺央さんが2015年、お店を構えた。 「中心部からは離れているけれど、時々バスが通る大きな通りがアメリカの片田舎みたいで気に入って、〈ブールヴァード〉と名づけました」  二方向の窓から明るい光が差し込む店内は、私物のレコードプレーヤーなど愛着のある品々が置かれ、まるで嶺央さんの部屋のよう。よい香りがしたと思ったら、母の有為子さんが、焼きたてのアップルパ

Sunday Bake Shop

 店主の嶋崎かづこさんいわく「仕込みに1週間かかるから週に1度しか開けられなかった」初台名物〈サンデーベイクショップ〉。開店8年でスタッフも増え、営業日は3倍になったが、開店前からお客が並ぶ混雑ぶりは相変わらず。  店の半分を占めるのは、お菓子屋さんには珍しいオープンキッチン。目の前で焼き上がるお菓子が買えるライブ感が、ここの最大の魅力だ。 「パティシエよりベイカーと呼ばれたい」という嶋崎さんが作

foodmood

 〈フードムード〉の店内は、アースカラーの世界。木と石と野の花をバックにオーラを放つのは、デコレーションのない茶色い風貌がかえって目立つお菓子たちだ。 「バターを使ったおいしいお菓子は世の中にたくさんあるので、私は菜種油を使って、焼き切ることで出るお菓子のおいしさを伝えられたらと思っています」と、店主のなかしましほさん。  おなかだけでなく、心も満足できるようなおやつを目指して〈フードムード〉と名

近江屋洋菓子店

店内に焼き菓子の甘い香りが立ち込めている。開店前の〈近江屋洋菓子店〉。出来たてのチーズケーキやシュークリームが次々にリフトから下りてきて、ショーケースに並んでいく。2階にある厨房から作りたてが届くのだ。カウンター奥の調理場ではポテトサラダや野菜を丁寧に挟みながら、職人さんが急ピッチでサンドイッチを仕上げている。季節のフルーツがたっぷりのったカップケーキやタルト、定番の「苺サンドショート」がショーケ

foodremedies|長田佳子

 とある週末。長田佳子さんは栃木・黒磯にある〈1988 CAFE SHOZO〉で、お菓子を作っていた。アンティークの皿に盛り、台湾茶との組み合わせを提案する、出張コラボ喫茶の真っ最中。月末の水曜には自由が丘で〈カフェ リゼッタ〉のパティシエと恒例“喫茶水曜日”。さらに、熊本、大阪……。〈YAECA〉のフード部門を経て2年前に独立したばかりだが、出張喫茶や茶会に引っ張りだこだ。 「その土地へ行って、

LE CAFÉ DU BONBON|久保田由希

 生徒の手元に不審な⁉動きを見つけると、すかさず、“あ、そこ”と駆け寄る。当の生徒は“先生、厳しいんですよ”とこぼしつつ、楽しそうだ。久保田由希さんは、かつてブームを牽引した人気カフェなどでお菓子の開発や製造を担当していた。が、次第に「食べ手の顔が見えなくなって」始めたのが、教えること。自分のお菓子への反応が直に伝わるのがうれしくて、気がつけば14年。教室はすぐに満員になってしまうが、いまも少人数

ISOO|磯尾直寿

 さながら、さすらいの菓子職人⁉ 東京・篠崎にある和菓子店でどら焼きを焼いていたこともあれば、仏・アルザス地方のタルトフランベ専門店で、アラミニット=出来たてのデザートを作っていたこともある。かと思えば練馬のイタリアンレストランでイタリア郷土菓子カンノーリを仕込む。何者かといえば六本木でイタリア菓子店〈パスティッチェリア イソオ〉を営んでいた磯尾直寿さんである。  ケーキはいつも売り切れだったのに

Kinonedo|中里萌美

 〈きのね堂〉のお菓子がおいしいよ、と教えてくれたのはとある人気菓子店の店主。食べてみると油脂に頼らず、焼きのしっかりした、とても力強いクッキーだった。  都内のマンションの一室で、〈きのね堂〉こと、中里萌美さんは一人黙々とお菓子を焼いている。食育が盛んな高校に通い、農業や自給自足に憧れたこともあったが、「自分が選んだ素材と向き合いながら、一人でお菓子を作るのが性に合っている」と、この形。 「何も

菊見せんべい総本店

その昔団子を売る茶屋が連なっていたことに由来する団子坂沿いに立つ、立派な店構えが目を引く〈菊見せんべい総本店〉。明治時代、団子坂を彩る菊人形は東京の秋の風物詩で「菊人形の見物客に何かお土産を」と、創業したそう。今ではご近所さんから幼稚園帰りの子供たち、谷根千散策を楽しむ観光客と、客足は途絶えず、「ありがと〜ございま〜す」と店主の朗らかな声が通りに響く。当時から珍しい四角い形のせんべいは、「天円地方

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