エンターテインメント

白線で規定された怪映画を。|加納(Aマッソ)→ 佐久間宣行

佐久間宣行のカルチャー交歓!

No. 942(2021.07.01発行)
音楽と酒・夏。

 Aマッソの加納です。先日も『ゴッドタン』の収録ではお世話になりました。一緒にお仕事をして驚いたのは、佐久間さんが自ら、演者の目の前に座ってカンペを出す姿。ベテランらしく収録中は後ろでどーんと構えているのかと思っていたのですが、ADさん並みに細かく動き回っていて、番組作りに“一球入魂”な姿勢が印象的でした。前回教えてもらった映画『At the terrace テラスにて』ですが、金持ちの世界は理解し難いですね(笑)。エゴにまみれた良い意味で“気持ち悪い”会話が延々と繰り広げられていて。演劇作品の映画化だけあって、「受け手」として観賞しているというより、実際に参加して対話を聴いているような感覚も味わえる、独特な呼吸の作品でした。お返しに、同じく演劇的な感覚が味わえる映画『ドッグヴィル』を。舞台はある田舎町。ギャングに追われた美しい主人公が逃げ込んできて、奉仕させる代わりにかくまう数週間を描いた作品です。一見善良な人々に潜む本性が徐々に明らかになってくるんですが、驚きなのはその描き方。壁などはなく、床に白い枠線が引かれ、通りの名前や誰の家かが書いてあるスタジオセットで終始撮影されているんです。ワンシチュエーションで、設定を観客の理解に委ねる部分が大きいところが演劇的であり、衝撃的でした。展開の恐ろしさも相まって好き嫌いが分かれる映画ですが、佐久間さんはどう感じますか?

『ドッグヴィル』

孤立した村ドッグヴィルに、美しい女性が現れる。村人たちは彼女をかくまうが、ある出来事をきっかけに、村に不穏な空気が流れだす。監督・脚本:ラース・フォン・トリアー/出演:ニコール・キッドマンほか/ジェネオン エンタテインメント/廃盤。

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加納(Aマッソ)

かのう/1989年大阪府生まれ。村上とともに2010年にお笑いコンビ・Aマッソを結成。ネタ作りを担当。2020年に上梓したエッセイ集『イルカも泳ぐわい。』(筑摩書房)も話題に。

佐久間宣行
さくま・のぶゆき/1975年福島県生まれ。テレビ東京プロデューサーを経て独立。『あちこちオードリー』『ゴッドタン』を担当のほか『オールナイトニッポン0(ZERO)』出演中。

編集・文/
福島絵美

本記事は雑誌BRUTUS942号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は942号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.942
音楽と酒・夏。(2021.07.01発行)

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