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磯崎新の初期住宅を若手建築家がリノベーション。

BRUTUSCOPE

No. 940(2021.06.01発行)
京都で見る、買う、食べる、101のこと
向かって右は吹き抜けのホワイトキューブ(会員限定のアートスペース)、左2階は住居。

ネオ・ダダ拠点〈新宿ホワイトハウス〉が、アート&カフェバーに変身。

「巨匠の名建築であることを意識するより、今の僕らと同世代の“20代の磯崎さん”と協働する気持ちでリノベーションに臨みました」

 と語るのは建築家の井上岳と大村高広。注目の建築コレクティブ、GROUPの一員だ。彼らが改修を手がけたのは、新宿百人町の〈新宿ホワイトハウス〉。磯崎新が1957年に設計したデビュー作である。もとは芸術家・吉村益信の住居兼アトリエで、60年にはここで赤瀬川原平、篠原有司男、吉村らが伝説の前衛芸術集団ネオ・ダダを結成。その後ライブカフェを経てChim↑Pomのアトリエに使われた。

 そんなカオスな経歴を持つ建物が、アートスペース&カフェバー〈WHITEHOUSE〉として生まれ変わったのは今年4月。

「木造2階建ての内部にあった吹き抜け空間は、竣工時に想定されていたホワイトキューブのギャラリーに。一方、周囲は雑然とした雰囲気が残る街並み。その両極を繋ぐ外観を考えました」と井上。建物名の由来となった白モルタル塗装の外壁やブロック塀、経年した窓枠やエアコンの室外機はそのまま生かし、鉄板+亜鉛塗装のカウンターや半円形の庇を設置した。アートスペースの入口は、無垢の真鍮による大扉だ。

「亜鉛塗装も真鍮も耐候性があるうえ経年でいい味わいが出る素材。内部のアート空間を想起させながらも街の雰囲気に溶け込む場所が作れたと」(大村)

 ブロック塀と建物の間のスペースは、誰でも立ち寄れる屋外カフェバーに。前衛芸術家たちのたまり場だった頃の濃密な空気に思いを馳せつつ、クラフトビールやコーヒーを味わいたい。

1階にカフェカウンター、2階に住居スペースの延長として使える庇を設置。躯体に負荷をかけない復元可能な工法で改修。
ブロック塀の内側はカフェバー。毎日15時より営業。●WHITEHOUSE/東京都新宿区百人町1−1−8。
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GROUP

グループ/井上岳、大村高広、齋藤直紀、棗田久美子、赤塚健による注目の若手建築設計事務所。2021年設立。リソグラフ(デジタル孔版印刷)による書籍『ノーツ』の編集・発行も。Instagram:@groupatelier

photo/
Yurika Kono
text/
Masae Wako

本記事は雑誌BRUTUS940号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は940号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.940
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