アート

Mirrored Big Daddy (1970)|メイ・スティーブンス

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 939(2021.05.17発行)
続・花と花束。
Courtesy of Ryan Lee Gallery, NY

 1960年代に頭角を現し、フェミニストの画家として知られるメイ・スティーブンス(1924~2019)。特に60~70年代にかけて手がけたこの「Big Daddy」シリーズは彼女の代表作です。ちょっと前に日本でも「ビッグダディ」としてTVに出演していた方がいましたね。でも実は、器が大きくて頼りになる父という意味ではなく、「父権主義」を当然とする偉そうな父親のことを意味していますよ。白人至上主義・性差別主義の象徴としてこのシリーズは描かれています。さて、男性のファッションポイントは、裸であることでしょうか。そして、膝に抱いているブルドッグは、今やペットとして人気になった元・闘犬といったイメージでしょうか。このペアがちょうど鏡のように映り合って、まるで四天王像のようではありませんか。が、男性が見ているのは自分自身だけ。守るべきものを守らんとしながら、周りが何も見えていないマヌケな男になってしまいました。こういう人、今でもちまたにいますよね。……いますよね?

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS939号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は939号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.939
続・花と花束。(2021.05.17発行)

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