エンターテインメント

『大人のための「怖いクラシック」オペラ篇』発表に合わせ、ポップスの怖い話。

BRUTUSCOPE

No. 937(2021.04.15発行)
やっぱりマンガが好きで好きで好きでたまらない
『怖いクラシック』|「モーツァルト:歌劇《魔笛》K.620〜第2幕」「地獄の復讐がこの胸にたぎる(夜の女王のアリア)」など、全13曲を収録。データで購入した場合は、特設サイトで絵画も閲覧可能。ブックレット 付きCDも発売中。

怖いポピュラーミュージック・アメリカ篇。

 中野京子著『怖い絵』シリーズの新作『大人のための「怖いクラシック」オペラ篇』の発表に合わせ、音源集『怖いクラシック』が発表される。ウジェーヌ・ドラクロワ「怒れるメディア(激怒のメディア)」のメインビジュアルはじめ、CDブックレットなどに楽曲に関連する13枚の絵画を掲載。「亡き女王のためのパヴァーヌ」や「歌劇:蝶々夫人〜第二幕『ある晴れた日に』」などの名曲の裏にどんな恐ろしい物語が潜んでいるのか。楽曲と絵画、解説を同時に体験できる作品だ。

 19世紀にヨーロッパで生まれた芸術作品には、悲しいかな戦争や宗教紛争、疫病などの歴史的な事件が反映されている。一方20世紀に入ると、アメリカ文化の発達に伴い、いまだ多くの謎に包まれた少し怖いポピュラー音楽が登場。ヒッピーカルチャーが衰退を迎える頃、1969年に「魔女集会」を意味するバンド、コヴァンがデビューし、『Blood on the Snow』(74年)は、ジャケットのバイオリンを弾く悪魔とともに全米で大ヒット。映画『エクソシスト』(73年)とともに、悪魔の存在がサブカルチャーからマスへ規模を拡大した。

Coven「Don't Call Me」|パワフルなボーカルのジンクス・ドーソンは「現在の魔女」として人気を博した。

 また、ガールズグループを数多く手がけ、ビートルズ『Let It Be』(70年)のプロデュースも行ったフィル・スペクターは、2003年に妻を射殺し、今年1月に獄中死。彼の手がけたザ・ロネッツ「Be My Baby」(63年)はアメリカンポップスを代表する素晴らしい楽曲ながら、事件のことを思うと、少し背筋が凍る思いでもある。

Phil Spector And Artists「Silent Night, Holy Night」|アメリカンポップスの象徴が、まさかの獄中死。音楽に罪はありません。R.I.P.

 そして、スイングジャズを代表するベニー・グッドマンはある友愛結社の会員だったという。文字通りの団体だが、都市伝説で特番が作られてしまうほど、いまだ謎に包まれている。こうして振り返れば、天才や名作には必ず背景がある。奇怪な逸話のある作家の楽曲や作品ほど、後世に残るのかもしれない。

Benny Goodman「Sing Sing Sing」|1938年のNYのカーネギー・ホールでのライブの様子。全23曲、ビッシリ名曲だらけ。
エンターテインメントカテゴリの記事をもっと読む
text/
Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS937号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は937号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.937
やっぱりマンガが好きで好きで好きでたまらない(2021.04.15発行)

関連記事