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テーマ〈続々々・飽きる〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 937(2021.04.15発行)
やっぱりマンガが好きで好きで好きでたまらない
宮沢章夫
やついいちろう
やつい
宮沢さんは、飽きるという意味では、師匠クラスだと思っているんですけど、片や志村けんさんが「自分の芸に飽きちゃ終わりだよ」って言ってたのを読んだことがあるんです。
宮沢
それは芸能の大事な要素の一つだよね。歌舞伎でも「待ってました!」っていう魅力が必要でしょ。お客さんの期待にきちっと応えなくちゃいけない。待ってましたっていう芸をどれだけ磨くか。
やつい
それと同時に、志村さんは自分に言い聞かせていたんじゃないかと思うんですよね。あれだけ新しい映画を観たり、音楽を熱心に聴いてらっしゃった。だから新しいことをやりたい人でもあったと思うんですよ。
宮沢
自分の律し方なんだと思う。生き方っていうか。新しいことを始めると、今までを全部否定することになるから。
やつい
宮沢さんは一気に違うことを始めるじゃないですか。
宮沢
出会った人からの影響もあるね。桑原茂一や太田省吾に出会った。それと、大瀧詠一さんが亡くなった時に、大瀧さんをより強く意識してものを考えるようになった。その後の大学で教える方法とかも変わったしね。
やつい
そういう意味では、教える仕事はなかなか飽きないですね。
宮沢
驚くべきことに一番長いんだよね。
やつい
京都の大学は、比較的短かったですね、今考えると。
宮沢
5年かな。京都に飽きた(笑)。
やつい
あの頃、宮沢さんのブログを読んでいて、宮沢フリークとしては、京都に入り込みすぎてる! って思ってました。これは飽きるなと(笑)。
宮沢
あれが奈良だったら変わってた(笑)。奈良って、本当に愛想ないよ。平城京跡に行ったら、ただの広い場所だった(笑)。
やつい
そもそも海がないですから。海がないところは愛想もない。知らないけど(笑)。
宮沢
埼玉県は?
やつい
……愛想悪いです。千葉よりは。山からは奇想天外なやつは来ないでしょう。
宮沢
そういう意味では日本人にとって一番奇想天外だったのは、黒船だな。相手がみんなでかいからね(笑)、江戸から相撲取り連れてきたらしい。こっちにもでかいやつがいるぞと(笑)。
やつい
でも、日本中江戸時代に飽きてたんじゃないですか? 特に龍馬とか(笑)。

(テーマ了)
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宮沢章夫

遊園地再生事業団主宰。著書に『長くなるのでまたにする。』ほか、多数。

やついいちろう

エレキコミック。著書に『それこそ青春というやつなのだろうな』がある。

編集・写真・文/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS937号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は937号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.937
やっぱりマンガが好きで好きで好きでたまらない(2021.04.15発行)

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