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テーマ〈続々・飽きる〉

平常心ブラザーズの平常心を失くす日。

No. 936(2021.04.01発行)
猫になりたい
宮沢章夫
やついいちろう
やつい
いつまでも楽しいってあるんですかね?
宮沢
それは打倒すべきヤツがいる時だね。腹が立つんだよ。腹が立つヤツより上に行ったと思ったら、飽きちゃう。昔、TBSでコント番組をやっていた時に、その中の放送作家の一人がドリフの『8時だョ!全員集合』もやってたんだよ。そいつがロビーで台本を書いてて、たまたま通りかかったの。ドリフって、昔の台本が全部残ってるんだけど、それを横に置いて、見ながら書いてるんだよ。それが許されるのかって腹を立ててた。放送作家時代には、みんなに腹立ててたね。私はご存じのように“笑いの求道者”だったから。どいつもこいつも、インチキなヤツばっかりって思ってたんだよ。
やつい
今はだいぶ淘汰されたと思いますけど、それでも、ある放送作家が学校でお笑いを教えていて、お題で生徒たちに企画を考えさせて、そのままテレビで使ってました。みんなにバレてるけど、それも含めてキャラになってる。
宮沢
テレビの黄金時代は60年代から70年代初頭っていわれてるけど、当時の話を聞くと、なぜかいる人がいる。「あの人、誰なんですか?」って聞いても、誰も知らない人がラジオの小さなブースの中にも座ってたらしい。そういう存在が許されてた。昔はラジオ局もテレビ局ももっとゆるかったからね。俺も夜中にラジオ局に行って、スタジオ借りてね、芝居用のレコードを録音してたから。
やつい
なんでこの人いるんだろって人、減りましたよね。フェスでもスタッフかと思ったら、酒屋のバイトだったことありますから。
宮沢
逆に今でもいると思うけど、その局でしか仕事をしない人。車両さんとか窓口の人とか、全員知り合いで、最初は社員かなと思っていたら、途中でフリーの作家だって気づいてびっくりしたことある。ある知人に聞いたんだけど、一つの出版社でしか仕事をしないライターがいて、その人に「明日、会社来る?」って言われたと。会社員かよ(笑)。そういうダメな人たち、いっぱいいたね。
やつい
なぜいるんだろう? っていう人たちは、不景気で精査されて、どんどん厳しくなってた中にコロナが来たから、もう全滅しちゃったかもしれません。
宮沢
じゃあ飽きちゃう(笑)。

(続く)
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宮沢章夫

遊園地再生事業団主宰。著書に『長くなるのでまたにする。』ほか、多数。

やついいちろう

エレキコミック。著書に『それこそ青春というやつなのだろうな』がある。

編集・写真・文/
村岡俊也

本記事は雑誌BRUTUS936号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は936号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.936
猫になりたい(2021.04.01発行)

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