エンターテインメント

生涯忘れられない一曲です。「Sexy.Honey.Bunny!」V6

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 936(2021.04.01発行)
猫になりたい
2011年8月24日にリリースした38枚目のシングル。1995年にデビューしたV6は今年11月1日に解散すると発表した。26年間の活動にピリオドを打つ。

「愛がすべて。忘れちゃ駄目さ」。V6は永遠です!

 3月12日、V6の解散が発表されました。

 僕にとってV6は、特別なグループ。ちょうど10年前、東日本震災後の夏にリリースされた彼らのシングル「Sexy.Honey.Bunny!」を、その後盟友となる同じ年生まれの作詞・作曲・プロデューサーのcorin.さんとともにソングライトし、スタジオでV6のメンバー6人と話し合いながら作らせてもらったことから彼らとの関係は始まりました。当時のV6はデビュー15年を越え、井ノ原快彦君と三宅健君の2人を中心にメンバー主導でさまざまな音楽的実験を行っていた時期。2015年の「20周年」コンサートで披露された、39曲のシングルすべてをマッシュアップした交響曲「39(サンキュー)シンフォニー」の制作も含め、かなり濃密なコミュニケーションを全員と交わさせてもらった間柄です。

 corin.さんともよく話すんですが、僕のこれまでの「職業音楽家」人生でいちばんエキサイティングだった瞬間は、「Sexy.Honey.Bunny!」のレコーディングだったな、と。ちょうどコロナ禍の現在のように、10年前の日本も混迷の中にあり、メディアも「絆」「連帯」などのメッセージを全面に押し出し続けていました。そんな時でしたから、V6のシングル曲に選ばれたメロディとトラックのデモテープが、作詞を依頼された僕に届いた時も「シリアスで癒やしを求める人を勇気づけるバラード」だと勝手に思っていたんですよね。ただし、聴いてみると底抜けにキャッチーな、1980年代のデッド・オア・アライヴを彷彿とさせる淫靡なディスコで正直笑ってしまいました。「自分たちの役目は人が微笑んでくれること」というその姿勢に胸を打たれたんです。デビューした1995年から、メンバーが一人も欠けることなく駆け抜けてこられたその歴史に最大のリスペクトを捧げます。

 今回で、僕、西寺郷太の連載コラムも終了します。『BRUTUS』という伝統ある雑誌に携わることができて光栄でした。すべて大切にファイリングしています。連載から5年半の間に音楽世界も大きく変わりました。これからも、自ら音楽を生み出し、伝えてゆく活動を続けてゆきますのでよろしくお願いします。


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にしでら・ごうた

バンド〈ノーナ・リーヴス〉のシンガー&ソングライター。『西寺郷太 GOTOWN Podcast Club』毎週水曜22時配信中。

文・題字/
西寺郷太
編集/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS936号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は936号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.936
猫になりたい(2021.04.01発行)

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