エンターテインメント

【4月2日公開】裏方・山田孝之が見据える“演じる”の未来。|『ゾッキ』

BRUTUSCOPE

No. 936(2021.04.01発行)
猫になりたい
山田孝之|シャツ26,400円(Vivienne Westwood MAN/ヴィヴィアン・ウエストウッド☎03・5791・0058)

「映画監督ってこんなにも嬉しい仕事だったとは。先輩たちはなんで教えてくれなかったんだろう(笑)」。そう話すのは、映画『ゾッキ』で映画監督デビューを果たした山田孝之。竹中直人、齊藤工とともに共同監督を務めた本作は、ありふれているようで、どこか奇妙な人物たちの交流を淡々と描いたシュールな短編が、一つの長編作としてつながるユニークな作りだ。

「思い描いていたキャストが現場に現れ、用意した衣装を着て、カメラの前に立つ。“うわ、松田龍平が自分の作った芝居をしてる”という興奮はひとしおでした(笑)。監督は現場の最前線にいるから、もちろん苦労やダメージも大きいけれど、喜びもじかに受け取れる仕事なんだなと感じました」

 今回、山田が気を配ったのが、撮影環境の整備。撮影終了から次の撮影開始までを最低8時間空けることをルールとし、俳優、スタッフたちがベストなパフォーマンスを出せる環境作りに注力した。

「きっかけは、2019年に藤井(道人監督)くんの映画『デイアンドナイト』でプロデューサーを務めた経験です。天候や様々な要因で撮影が延び、スケジュールが詰まっていく状況を裏方として初めて経験し、撮影環境を整える大切さを改めて感じました。一人一人の睡眠の確保は映画の質に関わっていく。俳優としての自分にもいずれ返ってくることだなと思いました」

 近年こうして、製作の裏方仕事にまで活動の幅を広げる山田だが、あくまでも自らの本分は演じることにあるとする。一方で、多様な経験は俳優業にも生かされた。

「プロデューサーの仕事を通して、多くの関係者と話をしたり、スポンサーを集めるために作品の魅力や製作の意図を明確に伝えたりした経験があったからこそ、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』の村西とおる役はできたなと。でなければ、あんなふうに論理的に、かつよどみなくしゃべる役はできなかったんじゃないかな」

 15歳で役者デビューを果たし、そのキャリアは22年。芝居や映画の仕事に携わり続ける理由は、「ただ好きだから」と山田。

「芝居って本当に面白いんです。正解のないものを提示して、人から評価される喜びが大きい仕事だからこそ、心や体にかかるストレスをできるだけ減らしたい。“芝居が好きで、どんどん映画をやりたいです”と後輩たちが言えるような環境を、裏方としても作っていけたらなと思います」

©2021「ゾッキ」製作委員会

『ゾッキ』

監督:竹中直人、山田孝之、齊藤工/出演:吉岡里帆、鈴木福、松田龍平ほか/シュールな世界観で人気の漫画家・大橋裕之の初期作品集『ゾッキ A』『ゾッキ B』に収録されたストーリーを映画化。Chara担当の音楽にも注目。4月2日、全国公開。

zokki.jp

エンターテインメントカテゴリの記事をもっと読む

山田孝之

やまだ・たかゆき/1983年鹿児島県出身。99年に俳優デビュー。以来映画やドラマを中心に主演作多数。近年ではプロデューサー業でも活躍。2021年には映画『はるヲうるひと』の公開やNetflixオリジナルドラマ『全裸監督』続編の配信を控える。

photo/
Wakana Baba
styling/
KURUMI (ROOSTER)
hair&make/
TOH (ROOSTER)
text/
Emi Fukushima

本記事は雑誌BRUTUS936号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は936号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.936
猫になりたい(2021.04.01発行)

関連記事