ファッション

ロンドン・パンクファッションの始まり。 A STORE ROBOT

カルチャーの震源地 “始まりの店”へ。

No. 935(2021.03.15発行)
始まりの服。
海賊船をイメージした店内では、定期的にアーティストなどによる展示が行われている。

〈セディショナリーズ〉が 東京に上陸したワケ。

 70年代後半のロンドンにおけるパンクムーブメントは、一つのブティックで産声を上げた。マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドが運営していた〈セックス〉である。なんせマルコムが店にたむろしていたゴロツキたちを捕まえて結成させたのが、かの有名な〈セックス・ピストルズ〉なのだから。その際、バンドメンバーに身に着けさせていたのが、〈セックス〉で販売されていた〈セディショナリーズ〉だ。挑発的なデザインのボンデージパンツやモヘアのニットは、パンクファッションのイメージを決定づけたと言っていい。しかし、家内制手工業スタイルで作られた〈セディショナリーズ〉が正規ルートで日本に渡ってくることはなく、70年代の終わりとともにブランドは幕を閉じたのであった。
 そんな伝説的なブランドを日本で初めて復刻したショップが、〈A STORE ROBOT〉だ。ロンドンのファッションをインポートすべく1982年にオープンした同店は、自身のブランドを立ち上げる前のヴィヴィアン・ウエストウッドとの知己を得たことで、〈セディショナリーズ〉を復刻販売する権利を獲得。かくして、日本上陸した〈セディショナリーズ〉、そして、同じくロンドンのシューズメーカー〈ロボット〉から輸入したラバーソウルは、パンクキッズのみならずファッションを愛する多くの若者たちから支持された。創業30周年の折に、当時から常連だったという藤原ヒロシが寄せた言葉からもそれは伝わってくる。いわく、「“東京と世界”、“ストリートカルチャーとモード”、が交わる拠点、始まりがこのお店」。
 今も〈セディショナリーズ〉の復刻を続けてはいるが、決してそこにあぐらをかいているわけではない。2000年代に入ってからは、日本が誇るテクノポップバンド〈プラスチックス〉の中西俊夫と〈TYCOON TO$H〉を始めたり、まだキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツで卒業制作を発表したばかりのキム・ジョーンズを世界で初めてサポートしたり、常に新しい風を店内に吹かせ続けている。そのアティテュードは、さまざまなジャンルと融合しながら進化を続けるパンクそのものだ。

〈セディショナリーズ〉のボンデージパンツ。
〈ジョージ・コックス〉とのコラボラインは現在やっていないが、ラバーソールのブーツは健在。
〈セディショナリーズ〉のTシャツの背後には、セックス・ピストルズ関連のグッズが飾られている。
店の壁という壁には得体の知れないオブジェが。
この店が復刻した〈セディショナリーズ〉のアナーキーシャツを額装。
80年代に存在した伝説のクラブ〈ピテカントロプス・エレクトス〉の装飾品。
〈TYCOON TO$H〉 のシャツ。現店主の宮崎洋寿さんがプラスチックスのス テージ衣装を手がけていたことも。中西俊夫が亡くなった今も、ブランドは存続している。
〈TYCOON TO$H〉 のシャツ。現店主の宮崎洋寿さんがプラスチックスのス テージ衣装を手がけていたことも。中西俊夫が亡くなった今も、ブランドは存続している。
店が入る独特の形状のビルは隣にある〈ペーターズギャラリー〉がオーナー。
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〈セディショナリーズ〉のほかに、〈ワールズ・エンド〉〈K THE MILLENNIUM〉〈編み物☆堀ノ内〉などのアイテムを取り揃えている。●東京都渋谷区神宮前2−31−18☎03・3478・1859。14時〜20時。不定休。

photo/Keisuke Fukamizu text/Keisuke Kagiwada

本記事は雑誌BRUTUS935号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は935号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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始まりの服。(2021.03.15発行)

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