エンターテインメント

水原姉妹がこよなく愛するテイ・トウワという奇才。

BRUTUSCOPE

No. 934(2021.03.01発行)
なにしろラジオ好きなもので③
水原佑果(左) 水原希子(右)

テイさんって地球人じゃないのかも⁉

「テイ・トウワさんの音楽には圧倒的な自由を感じる」と言うのは、テイさんを「音楽の師」と仰ぐ女優の水原希子さんと、DJとしても活動するモデルの水原佑果さん姉妹。テイさんが4年ぶりにリリースするオリジナルアルバム『LP(エルピー)』を聴きながら、その「自由」な魅力について語り合いました。

水原希子
ミュージシャンってみなさんそうだと思うけれど、特にテイさんは、張り巡らせてるアンテナがものすごく広いんじゃないかなと思っていて。そのアンテナで集めたものを、子供がおもちゃで遊ぶような感覚で音楽にしてるなって。彼自身が楽しんでるのがよくわかるもの。今回のアルバムもそれをすごく感じる。
水原佑果
楽しさが伝わってくるよね。
希子
エレクトロニックミュージックならではの、実験的な音もたくさん入ってて。今回は身の回りの音、例えば、iPhoneっぽい音も入ってたりしたでしょ。
佑果
「CONSUMER ELECTRONICS」っていう曲に入ってるピピン〜♪ っていう音。Siriの音だよね、あれは。
希子
そうそう。自分の「好き」がいっぱい詰まった「宝箱」みたいだなって。
佑果
そういうのをアーティスティックに取り入れて、ダンスミュージックにしてしまうのがテイさんの真骨頂というか。だから、よくよく聴いてると、このサンプリングって一体何なんだろう? って思う音も多くて。聞けば、インドのマニアックな音楽からひっぱってきていたり。
希子
わかる! テイさんってまるでスパイスを効かせるようにインドの音をちりばめるもん、昔から。
佑果
シタールの音ね。
希子
ファンタジック。
佑果
あと今回は、クラフトワークやYMOを彷彿させる音もあって。テイさんのミュージックヒストリーも感じたなあ。
希子
新しいものを追い求める部分と、好きなものは絶対に変わらないっていうブレない部分と。自分のルーツや原点って、人に見せるのが恥ずかしいものだったりすることもあるけれど、でもそれを惜しみなく、「見て見て!」って広げる少年のようだなって。
佑果
クールとチャーミングが混在してるんだよね。だから、クールになりすぎず、どこかユーモラスで。あと、テイさんって新しい才能をいち早くフィーチャリングするのがすごくうまいと思う。
希子
そうだよね。今回はHANAさんをフィーチャーしていて。ピュアでクリーンな歌声。すごく素敵だと思った。
佑果
しかも、HANAさんの年齢を知ってびっくり。まだ15歳。中学生!
希子
テイさんのなんでもアンテナがすかさずキャッチしたんだね、きっと。

テイさんが開けた音楽の扉。

佑果
テイさんの音楽を知ったのは、Deee-Lite(*テイ・トウワがメンバーとして参加した1990年代初期を代表する世界的ユニット)が最初だったかな。
希子
そうだね。でもそれは聴いたことがある程度で、テイさんの音をちゃんと認識したのは10年ぐらい前。テイさんが「THE BURNING PLAIN」(6)という曲でオファーしてくださって。私は最初、ボーカルのオーディションだと言われて行ったんだけど、ちょっとだけ歌ったら「あ、いいんじゃない?」ってすぐにレコーディングになって。出来上がった曲を聴いて初めて、「わあ、高橋幸宏さんと一緒に歌ってたんだ!」って。
佑果
聴いてびっくり(笑)。
希子
いつの間にか巻き込まれていた(笑)。でも、それをキッカケに、幸宏さん、細野晴臣さん、坂本龍一さんのYMOのメンバーやその周辺の人たちとの交流が始まって。それまで知らなかった音楽への道をテイさんが開いてくれた。
佑果
私がテイさんに最初に会ったのは、モデルの友達と一緒に行ったパーティ。青山のカフェでテイさんがDJをしていて、そのときは友達がテイさんと知り合いだったから、その流れで「こんにちは」って挨拶をして、テイさんもシャイなところがある人だから「どうもどうも」ぐらいで。すると後日、「新しい曲を作ってるからレコーディングしてみない?」って連絡が来て。行ってみたら、「LUV PANDEMIC」(8)という曲を歌うことになって、いつの間にかMV撮影も始まって。希子と同じパターン(笑)。
希子
フットワークが軽いよね。ピピッと感じると即キャッチ(笑)。テイさんのそんなフローに私たちの波動も合ったというか。いまは、佑果の方がテイさんに全然近いよね。DJの師匠だもん。
佑果
そう。私がDJをやるきっかけを作ってくれたのもテイさん。そもそもは、「LUV PANDEMIC」の後、「佑果ちゃん、レコードを聴くのは楽しいよ」って、いろいろとおすすめを教えてくれるようになったことから始まっていて。それで「この前教えてもらったレコード、買いました!」「じゃあ今度これ聴いてみれば」ってやりとりを続けるうちに、私がどんどんレコードを掘るようになってハマっていって。そのうち、テイさんが主宰するDJイベント『RECORDS』で「ミュージックセレクターで参加しない?」って呼ばれるようになって。テイさんに出会わなければそんなことはやってなかった。とにかく、音楽をセレクトするのが楽しいし、面白いし。ああ、こういう曲があるんだって発見があるし。
希子
テイさん、DJする佑果のことを「よしよし」って見てるもん。私も保護者として見守ってるけど(笑)。テイさんはどんなふうに教えてくれるの? 「オレの背中を見ろ!」って感じ?
佑果
機材の扱い方は最初にいろいろ教えてもらったりしたけれど、あとはテイさんのプレーを見てって感じかな。
希子
テイさんは多くを語る人ではないもんね。メールとかも「イイネ!」って一言だけ返ってきたり、絵文字だけだったり。どういう意味なのだろうと考えたりすることもあるけれど(笑)。
佑果
「今晩UFOの番組があるから観るべし」とかもあったね(笑)。
希子
UFO好きだから(笑)。私たちのお父さんって感じだもの、もはや。
佑果
テイさんも認めてくれてる。「オレの娘たちだ」って(笑)。

『LP(エルピー)』

2020年に活動30周年を迎えたテイ・トウワ。4年ぶりのアルバムには細野晴臣、高橋幸宏、HANAなどが参加、ミックスをGOH HOTODA、マスタリングを砂原良徳が手がけている。アートワークは五木田智央。キャッチーでポップな極上のダンストラックが満載。

水原姉妹が選ぶプレイリスト。

希子
テイさんのプレイリストかあ。悩むなあ。たくさんありすぎて。
佑果
最近ずっと聴いてるのが、野宮真貴さんが歌う「AMAI SEIKATSU(甘い生活)」(1)。曲はもちろん、テイさんが書いた詞も大好きで、何回もリピートして聴いてる。恋が始まるときはいつもこの曲が流れてくるから(笑)。
希子
わかる〜! 名曲だもん。これと、「LUV CONNECTION」(1)と、CHARAさんが歌う「LET ME KNOW」(3)は鉄板だよね。あと、椎名林檎さんが歌う「APPLE」(7)もいい!
佑果
テイさんって意外と女の子のハートに刺さる曲を作るんだよね。
希子
根がロマンティックなのかな。
佑果
ファンキー好きの私としては、「TASTE OF YOU」(5)もリストに入れたい。あとトム・ブラウンのファンクの名曲をリミックスした「FUNKIN' FOR JAMAICA」(3)も大好き。「TIME AFTER TIME」(2)もクルーヴィで好き。
希子
矢野顕子さんが歌う「HIGHER」(2)もいいの。踊っちゃう。あと、忘れちゃいけない、カイリー・ミノーグ!
佑果
歌姫カイリー! いいよね!
希子
「SOMETIME SAMURAI」(4)は超好き。細野さんがコーラスしてる「GBI」(2)は、カイリーが芸者のような格好をして電車に乗ってるMVがヤバすぎる。テイさんって、MVもすごく凝ってて、田辺あゆみちゃんの「BUTTERFLY」(3)は曲も好きだけど映像もすごく好き。カッコいいの。
佑果
90年代感がいいんだよね。
希子
あの世界観は私たちの憧れ。テイさんは、80年代の終わり頃から90年代半ばぐらいまでニューヨークで暮らして、Deee-Lite時代はブーツィー・コリンズと一緒にライブをやったりして。ドラァグクイーンのル・ポールがライブの前座をやったりもしたんだって。
佑果
いいなあ〜、観たかったなあ〜。その頃、私まだ生まれてないけど(笑)。
希子
残念(笑)。でも、90年代ニューヨークのパーティシーンで、テイさんが「どうもどうも」って飄々とDJしてたと思うと、あらためてスゴいなって。
佑果
ふと思ったんだけど、私が参加した「LUV PANDEMIC」って6年ぐらい前の曲だけど、いまにになって「パンデミック」っていう言葉をめっちゃ意識するようになったでしょ。あのMVも含めて、いまのこの世界を語ってる感じがすごくする。テイさんって、もしかしたら予知能力があるのかもしれないって、ちょっとゾッとしちゃった。
希子
宇宙人なのかもよ、本当は。
佑果
だからUFO番組を観ろって言ってきたのかな(笑)。
(1)『FUTURE LISTENING!』 1994年

(2)『SOUND MUSEUM』 1997年

(3)『LAST CENTURY MODERN』 1999年

(4)『FLASH』 2005年

(5)『BIG FUN』 2009年

(6)『SUNNY』 2011年

(7)『LUCKY』 2013年

(8)『CUTE』 2015年

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水原希子

みずはら・きこ/1990年生まれ。女優、モデル、デザイナーとしてマルチに活躍中。主演映画『彼女』(原作は中村珍の漫画『羣青』)が4月15日からNetflixで全世界同時配信。

水原佑果

みずはら・ゆか/1994年生まれ。モデル業の傍ら、2016年よりテイ・トウワのイベントでDJキャリアをスタート。ロンドンのラジオ局〈NTSRadio〉で自身のミックスを配信中。

テイ・トウワ

1964年東京都生まれ。DJ、アーティスト。90年に〈ディー・ライト〉のメンバーとしてデビュー。作品制作のほか、映画CMの楽曲制作やプロデュースなど、その活動は多岐にわたる。

photo/
Natsumi Kakuto
text/
Izumi Karashima

本記事は雑誌BRUTUS934号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は934号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

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なにしろラジオ好きなもので③(2021.03.01発行)

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