アート

The Pond (1905)|アルフレッド・クビン

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 934(2021.03.01発行)
なにしろラジオ好きなもので③
Courtesy of Richard Nagy Ltd., London

 1877年ボヘミア(現在のオーストリア)生まれのアルフレッド・クビンという画家は、白黒の“怖い絵”ばかりを描きました。上の作品では、池の手前にある木に首を吊り、ほとんど白骨化した人間と、池の向こう側にはフクロウに似た大きな怪物が佇んでいます。さて、10代のときに写真家の弟子としてキャリアをスタートしたクビンは、次第に精神を病むようになり、20歳になる頃、母親の墓前で自殺を試みます。幸か不幸か一命を取りとめ、やがて軍に従事しますが、やはり精神的な問題によって除隊に。その後、美術学校で絵を学ぶことになります。1959年に亡くなるまでの約50年の間、オーストリアにある小さな古城を自宅にして隠遁生活を送りながら、ドストエフスキーやエドガー・アラン・ポーの小説に挿絵を描いたり、小説を書いたりと忙しく過ごしたそうです。面白いのは、彼が絵を描くのに好んだのが、地図の作成に使われる用紙だったこと。絵を描くことは、方角と位置を知るための手段だったのかもしれませんね。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS934号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は934号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.934
なにしろラジオ好きなもので③(2021.03.01発行)

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