【文教地区の有望株】canade/bistro amano

グルマン温故知新

No. 934(2021.03.01発行)
なにしろラジオ好きなもので③

惹きのあるスペシャリテが強みのフレンチ&イタリアン。

古書店と学生の街・神保町にはビストロが、文豪が暮らした学問の街・本郷三丁目にはイタリアンがお目見え。探求心旺盛な料理スタイルや譲れないこだわりが、アカデミックな街の雰囲気にぴったりフィットする。渾身のスペシャリテは、食べないと後悔するほど!

【canade ●本郷三丁目】わかりやすく自由な、日本人目線のイタリアン。

 強者揃いの広尾〈アロマフレスカ〉で鍛えられ、代官山〈タクボ〉でも腕を磨いた池田光寿さん。手打ちパスタ習得のために訪れたイタリア・ピエモンテで衝撃を受け、のめり込んだのが、スペシャリテのリゾットだ。

静岡県清水出身の池田光寿さん。ソムリエは妻の美穂さん。

 牛乳で炊いただけの米料理はやぼったいのに雑味なし。旨味が濃縮したソースと相まって、中毒性は増すばかり。春野菜のパスタは「野菜炒めをのっけた」イメージ。仔羊は日本人好みの桜の葉で蒸し焼きに。暮らしと風土に根ざすイタリアンの調理法を用いながら、和の要素にも柔軟。おいしいと感じる料理をわかりやすく表現するのが池田さんの個性であり、らしさ。イタリアでワインを学んだ妻の美穂さんも和ませ、酔わす。

 素材を吟味し、野菜は多め。塩は控える分、煮詰めて旨味を増す。パンは日本酒の天然酵母でゆっくり発酵させた自家製にこだわるのも「次の日にも負担がない体に優しい料理を」との思いから。うれしい裏テーマだ。

仔羊のロースト 桜の葉 蒸し野菜のココット

トスカーナではオリーブの葉を使うところ、静岡県松崎町の名産品、桜の葉の塩漬け。仔羊は「しっかり火入れをした方が旨い肉」と池田さん。均一に火を通すのではなく「焼きムラもおいしさのうち」と、師匠である原田慎次イズムを受け継ぐ。軽やかなジュのソースはワインを欲する味わい。3,200円。

菜園風スパゲッティ 春

アスパラガス、インゲン、オクラ、菜の花、芽キャベツ、万願寺とうがらし、コゴミ、ウルイ、ズッキーニ、ブロッコリーと、春野菜がふんだん。「なかなか外食できないこの時期だから」と考案した、季節のパスタ。1,600円。

Macalle(マカッレ)風リゾット

石川県産のイタリア米を使用し、穀物感を強調。オープン前から仕込んだソースは、ウナギのタレのように毎日継ぎ足し、継ぎ足し使う。「店の歴史を味わってほしい」
と、池田さん。2,000円(黒トリュフ追加+1,500円)。

オープンキッチンの空間で、カウンターメインのレストラン。

【bistro amano ●神保町】味は人なり、職人気質なシェフの気骨あるビストロ。

 シェフの天野直樹さんは東京・日本橋にある〈ビストロ トラディシオン〉の出身。得意とするのが、黒板メニューの3分の1を占めるシャルキュトリー。豚肉のリエットに白レバーのムースなど、10種類を数える。

マダムの通子さんと2人で切り盛りする、シェフの天野直樹さん。

 牛、豚、羊、鹿、鶏、鴨と6種の肉を合わせたパテは、まとまりのある味わいに。豚頭ハム「ミュゾー」は、仔豚の頭を皮付きのまま仕入れる入れ込みよう。メインもしかりで、仔羊のローストは強めの火入れで肉本来の香りを立たせ、脂身は香ばしく、内部はふっくらジューシーに仕上げるのが狙い。正統派の料理も、自家製スパイスの香りで新鮮味と個性をプラスする。

 パンやデザートまで自分一人でやりたい性分で「基本的なものをしっかり作りたい。終わりはないですね」と、天野さん。職人気質な夫の料理にワインを合わせるのは、ワインバーの名店で経験を積んだソムリエールでマダムの通子さん。老舗が消えゆく神保町に希望の光!

仔羊背肉のロースト

仔羊はオーストラリア産で、しっかりと火入れするのが信条。ゲランドの塩をベースにオレンジやレモンの皮、ニンニク、ショウガ、ネズの実、ジュニパーベリー等をブレンドした自家製スパイスがアクセント。この日の付け合わせは芽キャベツ、カブ、ウルイなど。季節の野菜をたっぷりと添えて。2,400円。

シャルキュトリーの盛り合わせ

上から時計回りに、パテ、ロースハム、ニンニクとショウガのソーセージ、ソーシス・ジャンボン(豚モモ肉の冷製ソーセージ)、ベーコン、中央左はマグレ鴨の生ハム、右はミュゾー(花悠仔豚の頭ハム)。1,980円。

ブーダンノワール

豚血のソーセージ。豚の背脂でコクと旨味、豚耳と豚タンで食感をプラス。付け合わせは定番のキャロットラペとジャガイモのピューレを。甘くないリンゴの赤ワイン煮とマスタードが味わいを際立たせる。1,400円。

店内は入口付近にウォークインセラー、奥にカウンター席が。
カテゴリの記事をもっと読む

canade

電話:070・3843・8393
営業時間:17時30分〜23時LO。
酒:グラスワイン900円〜、ボトルワイン5,000円〜。
価格:前菜700円〜、パスタ1,600円〜、コース7,000円〜。
席数:カウンター9席、テーブル2卓4席。

東京都文京区本郷2−31−3 二木ビル1F。日曜休。交通:東京メトロ・都営大江戸線本郷三丁目駅1番出口から徒歩4分。2020年12月8日オープン。コペルト(パン代含む)500円。シェフのおまかせコースは前菜3品、プリモ1品、メイン料理1品、ドルチェ、カフェで7,000円。季節のシェフおすすめコース1万円も(3日前までに要予約)。ワインはイタリア産を主体に約70アイテム。

bistro amano

電話:03・6272・8310
営業時間:17時〜23時(土・祝16時〜22時)。
酒:グラスワイン700円〜、ボトルワイン3,560円〜。
価格:豚肉のリエット500円、本日の鮮魚の一皿2,500円。
席数:カウンター4席、テーブル6卓12席。

東京都千代田区神田神保町2−20 東明ビル1F。日曜休。交通:東京メトロ・都営新宿神保町駅A4出口から徒歩2分。2020年11月24日オープン。席料・パン代として1人500円。メニューは自家製シャルキュトリー500円〜、おつまみ500円〜、冷前菜1,350円〜、温前菜800円〜、メイン2,300円〜で構成。妻の通子さん厳選のワインはフランス産を中心に料理に寄り添うバランス型が充実する。

photo/
Yoichiro Kikuchi
文/
粂 真美子

本記事は雑誌BRUTUS934号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は934号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.934
なにしろラジオ好きなもので③(2021.03.01発行)

関連記事