【夫婦ビストロ】KUVAL/ビストロ11

グルマン温故知新

No. 932(2021.02.01発行)
音楽と酒。

夫婦が営む、居心地のいいビストロへ。

夫が料理を作り、妻がサービスやお菓子作りを担当。修業を終え、晴れて自分たちの店を構えたばかりの夫妻が二人三脚で営むレストランは、これから店をしっかり育てていくぞ! という熱意に満ちている。それぞれの意欲のこもった料理を、じっくり味わいたい。

【KUVAL ●三鷹】料理とデザート、ともに実力店仕込みの味を。

 賑やかな駅前から少し離れた通り沿いに、大きな窓から店内の様子が窺える可愛らしい店が。オーナーシェフの久原将太さんは、丸の内〈アピシウス〉や阿佐ヶ谷〈ラ・メゾン・クルティーヌ〉などで経験を積み、南仏へ。マルセイユやリュベロン地方で1年間料理を学んだ。帰国後は、ジビエ料理で知られる〈ラチュレ〉や肉に強いビストロ〈セラフェ〉でも働き、独立。

 一方、妻の春香さんは製菓学校を卒業後横浜のレストランやデザイン学校を経て、広尾のイタリアン〈ポンテ・デル・ピアット〉で食事の最後を飾るアシェット・デセールを担当した経験が。〈KUVAL〉でも、デザートや焼き菓子は彼女が手がける。

 南仏時代の、山や森で獲れた素材を料理に使う生活が楽しかったという久原さん。だから、大家さんの畑や地元のマルシェの野菜、近所のお花屋さんが扱うハーブなどを積極的に使う。その甲斐あってか、早くも街に馴染み、ファンを獲得している。

ともに人気店で経験を積んだ将太さんと春香さん。
天城黒豚の骨つきロースのロースト

「天城黒豚」は、水のきれいな伊豆の山中で大切に育てられたバークシャー種の黒豚。きめ細かな身質が特長だ。「三鷹地域で取り扱っているのはうちだけ」と久原さん。付け合わせは、雪室で熟成させることで甘味が増した男爵イモ。二度揚げで香ばしく。2人前3,500円。

タラのポワレ 白子のフリット

皮目をパリッと焼き上げた冬が旬のタラに、これまた冬のごちそう食材・白子のフリットを合わせている。旨味たっぷりの貝のだしに、ブルギニョンバターを加えたスープの具材は、白菜とナメコ。1,300円。

ショコラ 柚子 ホースラディッシュ

ショコラとホースラディッシュ、2種類のソルベとショコラのムース、ユズソースとバターをなめらかに仕上げたクレムー、ユズジャムを添えたガトーショコラにクランブルやカカオニブで食感のアクセントを。1,100円。

店の奥には個室も。壁の左官作業は、YouTubeを参考にDIYで。

【ビストロ11 ●学芸大学】のっぽな夫妻が営む、リラックスムードの店。

 オーナーシェフの松浦真吾さんは子供の頃から料理人に憧れ、調理師免許を取得できる高校へ。卒業後、長野の〈オーベルジュ・エスポワール〉に就職した。「藤木徳彦シェフのモットーは“地産地消”。何でも自作する職場で、厳しくも楽しかったし、生産者さんと直接交流できたのも貴重な経験」と松浦さん。

 13年間勤めた後、助っ人で入った〈ル・ヴェール・ヴォレ・ア・トーキョー〉(現〈メグロアンジュール〉)から、オーナー・宮内亮太郎さんの口利きでパリの〈ル・ヴェール・ヴォレ〉へ。帰国後は〈メグロ アンジュール〉で、さらに代々木上原〈AELU〉でもシェフを務めた。

 その時期に宮内さんの紹介で出会った妻の恵さんと意気投合。「一緒にお店をやったらきっと楽しい人!」と、一気にゴールイン。見事、夢を実現させた。

 マリネに使う粒味噌など、土地に根ざした素材が好きという松浦さん。各地で育まれた味を、自在に料理に反映させている。

料理は真吾さんが1人で担当。妻の恵さんがサービスを担当。
徳島県産和牛のステーキ

豊かな味わいに惚れ込んでいる徳島県の黒毛和牛は、〈AELU〉時代にお店のイベントで出会った生産者との交流から仕入れるように。2名分の塊を休ませつつ焼き、プチヴェールと赤タマネギ、ビーツのピュレ、赤ワインソースと。石井啓一さんのモロッコブルーの器によく映える仕立てだ。2人前3,800円。

ブリと赤カブの粒味噌のマリネ

厚切りにしたブリとあらかじめ塩をした赤カブを、奄美大島の名産である「粒味噌」や白バルサミコ酢、ハーブとマリネに。フルーティな風味を持つ粒味噌が2つの食材を調和させ、お酒が進む粋なアテに。600円。

白いんげん豆のモンブラン

長野時代に着想し〈メグロ アンジュール〉で人気を博したデザートは、すっかり松浦さんのスペシャリテに。軟らかく煮てから濾して絞った白インゲン豆の下にはサクッとした焼きメレンゲが忍ばせてある。800円。

天井の高い店内。壁は仲間とともに自分たちで塗った。
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KUVAL

電話:0422・27・7753
営業時間:11時30分〜13時30分LO(金〜日のみ)、18時〜22時LO。
酒:クラフトビール700円〜、グラスワイン650円〜、ボトルワイン3,000円〜。
価格:前菜800円〜、温菜1,050円〜、主菜1,800円〜、デザート1,100円〜。
席数:カウンター8席、テーブル1卓4席、個室1室(4名)。

東京都武蔵野市西久保2−3−15 サード本窪1F。不定休(Instagram@kuval2020で告知)。交通:JR三鷹駅から徒歩11分。2020年4月7日にオープン。開店から2ヵ月ほどは、ご近所の人向けにテイクアウトのみで営業。6月よりレストラン営業をスタートした。週末だけのランチコース3,800円は、前日までに要予約。ディナーでも、前日までに予約すると6,500円のコースを提供。

ビストロ11

電話:03・6412・8223
営業時間:17時〜22時フードLO。
酒:ビール700円〜、グラスワイン700円〜、ボトルワイン4,500円〜。
価格:おつまみ350円〜、前菜900円〜、メインディッシュ1,200円〜。
席数:カウンター7席、テーブル1卓4席。

東京都目黒区鷹番3−7−13。不定休(Instagram@bistro_1111で告知)。交通:東急東横線学芸大学駅から徒歩3分。店名の由来は「僕と長身の妻が並んで立つと数字の“11”みたいだから」と松浦さん。店名にちなんで2020年11月11日にオープン。さらには席数も11! メニューの中で異彩を放つのが定番「白石温麺」。実家のある蔵王の名産品。パン代400円。席が少ないため予約がベター。

営業形態、営業時間等は変更になることがあります。

photo/
Kanako Nakamura
文/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS932号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は932号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.932
音楽と酒。(2021.02.01発行)

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