寄り道ばかりのナイトシティライフ。
発表から8年、CD PROJEKT REDが開発した待望の近未来オープンワールドRPG『サイバーパンク2077』が発売された。舞台となるのは1980年に興った“サイバーパンク”の世界観を踏襲した、映画『ブレードランナー』のようなネオン煌めく電脳都市ナイトシティ。ゲーム番組『勇者ああああ』(テレビ東京)のナレーションを担当し、ゲーム好きとして知られる三四郎の相田周二さんが、ローカライズを担当したCD PROJEKT RED ジャパンの西尾勇輝さんに本作の魅力を尋ねた。
- 相田周二
- 街が隅々まで作り込まれているから、ゲームを進めるよりも、つい路地裏に入っちゃうんです。治安が悪くて、悪ガキに因縁をつけられて。
- 西尾勇輝
- (笑)。そんなディストピアな世界観は、1990年に発売されたTRPG(テーブルトーク・ロールプレイング・ゲーム)『サイバーパンク2.0.2.0.』を原作としています。資本主義が成熟し、コンピューターが普及し始めた80年代から見た2077年の近未来ですね。
- 相田
- 西尾さんはこのゲームのローカライズを担当されたんでしたよね?
- 西尾
- そうです。TRPGは会話だけで物語を進めるゲームで、その軸となるルールブックがあるんです。1993年に発売された『2.0.2.0.』日本語版では、“ザ・翻訳”というような遠回しな翻訳がカッコいいとされていたので、その雰囲気は残しつつ微調整しました。
街を歩き、会話をするうち、ナイトシティに馴染んでいく。
- 相田
- 冒頭で選ぶ「ライフパス」は、物語にどんな影響があるんですか?
- 西尾
- 主人公“V(ヴィー)”が傭兵稼業を始めた出自で、ゲーム中の選択肢が変わります。「ストリートキッド」は生粋のナイトシティっ子。「コーポレート」は日系財閥アラサカの社員。「ノーマッド」は輸送車を襲撃して暮らしている放浪者です。
- 西尾
- いいと思います(笑)。
- 西尾
- 彼女なりのお茶目なんですけどね(笑)。バトルはいかがでしたか?
- 相田
- 常に回復薬を注射してます。一人称視点のゲームをあんまりやらないので、かなり新鮮でした。
- 西尾
- カメラの画角がプレーヤーの視野角なので、物語に没入できるんです。でも、必ずしも直接戦う必要はないんですよ。電子機器を遠隔操作する“ハッキング”が戦いの醍醐味でもありますから。
- 相田
- 僕、バイきんぐの小峠さんに“ロシアのハッカーみたいな顔”って言われてるんで、ハッキング頑張ります。
- 相田
- 情報が膨大ですね。
- 西尾
- データベースを開くと、各国の歴史も学べますよ。
- 相田
- また寄り道してしまう…… でも、そういう世界情勢も、街の人たちと話したり、仕事を受けたりするうちに自然と理解できていくんですよね。
- 西尾
- ローカライズで気をつけたのがそこです。会話によって物語の輪郭が形作られるのがTRPGの最大の特徴ですから。行間を読みながら、ゆっくりナイトシティの住人になってください。
- 相田
- まずは路地裏を制覇します!
『サイバーパンク 2077』
1人称視点のオープンワールドRPG。2020年12月20日現在PlayStation StoreのPS4版のDL販売は中止中。CD PROJECT RED、スパイク・チュンソフト/通常版7,980円。
*販売状況等についてはCD PROJEKT RED(https://support.cdprojektred.com/ja/cyberpunk/pc)までお問い合わせください。

- photo/
- Naoto Date
- text/
- Neo Iida
本記事は雑誌BRUTUS931号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は931号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。