エンターテインメント

現代の山水絵巻が、2020年ナンバーワン(確定)。『春江水暖~しゅんこうすいだん』

みんなの映画 by Takashi Homma

No. 931(2021.01.12発行)
なにしろカスタード好きなもので。
『春江水暖~しゅんこうすいだん』監督:グー・シャオガン/出演:チエン・ヨウファー、ワン・フォンジュエン、スン・ジャンジエンほか/2月11日、Bunkamura ル・シネマほか全国順次公開。 ©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved
ホンマタカシ(以下H)
うーん、すごい映画を観てしまったかも。
BRUTUS(以下B)
そうですか!
「俺、泳ぐから、君、歩いて、競争ね」のシーンの長回し、10分はあった気がする。あの長回し映画史に残るよ。ゴダールの『ウイークエンド』(*1)の渋滞シーンみたいに
横移動スクロールの超ロングテイクはずっと観ていられる感覚でした。
最近、エドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』(*2)を観返していたばっかりだったから、きっと影響を受けたんだろうなって感じがしたね。
流れる時間が似てますね。監督は1988年生まれで、これが長編デビュー作。変化に巻き込まれる故郷を舞台に、親子3代のドラマを描いています。
何なんだろうね。アメリカのジェットコースタームービーの対極にあって、ゆったりと人生のある局面を見せるこのリズムは。小津にも感じる淡々とした家族の話、それ自体はありふれた話なんだけど心に刺さるというか。だから、この監督が若いというのが信じられないよ。それも初長編だよ。季節ごとに作って、またそれで予算を集めて、四季を全部撮ったらしいね。それも奇跡を呼び込んじゃっていると思うよ。映画の画面の中に出てる。
現代版の山水絵巻を映画で作りたかったそうです。
映画の構えが大きいよね。超本格派、彗星のように現る! って感じ。2020年のナンバーワンに決定だね。
エンターテインメントカテゴリの記事をもっと読む

*1

1967年公開。互いに愛人を持つ夫婦の暴力とエロティシズムに満ちた週末行。

*2

2000年公開。台北で暮らす少年ヤンヤンとその家族が抱える問題をリアルに描く。カンヌ国際映画監督賞受賞。

本記事は雑誌BRUTUS931号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は931号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.931
なにしろカスタード好きなもので。(2021.01.12発行)

関連記事