- ホンマタカシ(以下H)
- うーん、すごい映画を観てしまったかも。
- BRUTUS(以下B)
- そうですか!
- B
- 横移動スクロールの超ロングテイクはずっと観ていられる感覚でした。
- H
- 最近、エドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』(*2)を観返していたばっかりだったから、きっと影響を受けたんだろうなって感じがしたね。
- B
- 流れる時間が似てますね。監督は1988年生まれで、これが長編デビュー作。変化に巻き込まれる故郷を舞台に、親子3代のドラマを描いています。
- H
- 何なんだろうね。アメリカのジェットコースタームービーの対極にあって、ゆったりと人生のある局面を見せるこのリズムは。小津にも感じる淡々とした家族の話、それ自体はありふれた話なんだけど心に刺さるというか。だから、この監督が若いというのが信じられないよ。それも初長編だよ。季節ごとに作って、またそれで予算を集めて、四季を全部撮ったらしいね。それも奇跡を呼び込んじゃっていると思うよ。映画の画面の中に出てる。
- B
- 現代版の山水絵巻を映画で作りたかったそうです。
- H
- 映画の構えが大きいよね。超本格派、彗星のように現る! って感じ。2020年のナンバーワンに決定だね。
本記事は雑誌BRUTUS931号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は931号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。