エンターテインメント

あるレコードジャケットデザイナーの記録。

BRUTUSCOPE

No. 931(2021.01.12発行)
なにしろカスタード好きなもので。
ザ・クロマニヨンズの名作アルバムとして知られる『PUNCH』。そのジャケットのために菅谷は、2本のボルトの立体を作ることから始めた。完成したそれを撮影し惜しげもなく加工、ロックテイスト溢れるビジュアルに仕上げたのである。 ©2020「エポックのアトリエ」製作委員会
ザ・クロマニヨンズの名作アルバムとして知られる『PUNCH』。そのジャケットのために菅谷は、2本のボルトの立体を作ることから始めた。完成したそれを撮影し惜しげもなく加工、ロックテイスト溢れるビジュアルに仕上げたのである。 ©2020「エポックのアトリエ」製作委員会
ザ・クロマニヨンズの名作アルバムとして知られる『PUNCH』。そのジャケットのために菅谷は、2本のボルトの立体を作ることから始めた。完成したそれを撮影し惜しげもなく加工、ロックテイスト溢れるビジュアルに仕上げたのである。 ©2020「エポックのアトリエ」製作委員会
ザ・クロマニヨンズの名作アルバムとして知られる『PUNCH』。そのジャケットのために菅谷は、2本のボルトの立体を作ることから始めた。完成したそれを撮影し惜しげもなく加工、ロックテイスト溢れるビジュアルに仕上げたのである。 ©2020「エポックのアトリエ」製作委員会

もの作りの教則映画にしたい『エポックのアトリエ』。

2020年は後々、音楽業界で語り継がれる年になるかもしれない。アメリカで40年ぶりにレコードの売り上げ枚数がCDを逆転した年として  。

 このドキュメンタリー映画の主人公・菅谷晋一は、レコードジャケットデザイナー。そう、CDではなくレコードジャケットデザイナーが彼にはふさわしい。そして映画を観ると、ザ・クロマニヨンズやOKAMOTO'Sから篤い信頼を寄せられている菅谷に興味を惹かれる。その時点でこの映画は成功だろう。

「僕の作り方を簡単に説明すると、まずデザイナーとしての僕がジャケットのイメージを考え、絵描きや彫刻家としての僕に発注して、その制作物を再びデザイナーとしてジャケットに落とし込む、という感じですね」

 最初から最後まで、菅谷一人によるアナログな手作業がほとんどだ。そうなると難しいのは、制作の止め時のはず。どの段階で完成と判断するのだろう。

「ドキュメンタリーを観て気づいたんですが、“できた”と言う寸前から僕は笑顔になっているんです。それまでは制作者として集中して作業してるんだけど、それをデザイナーとしての僕が追い抜いて、笑顔になって“できた”になるみたい」

 制作物完成の瞬間に、菅谷は仕上がりイメージを持ったデザイナーに戻るということらしい。

「どっちも僕ですけど(笑)」

 そんな話をしながら、菅谷はとても楽しそうである。

「映画を観て、面白そうだと感じたら、ぜひこの仕事に飛び込んでみるといいと思います。とても楽しい仕事ですから」

 彼のアナログな仕事の流儀については映画を観てもらうとして、レコードがアメリカで復活し日本でも見直されている今、レコードジャケットデザイナーは狙い目の仕事かもしれない。

『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット』

出演:菅谷晋一、ザ・クロマニヨンズ、OKAMOTO'S、青柳拓次ほか/プロデューサー・監督・編集:南部充俊、音楽:青柳拓次/新宿シネマカリテほかで絶賛公開中。
https://epok-film.com

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菅谷晋一

すがや・しんいち/1974年東京都生まれ。デザインスタジオepok主宰。といっても1人だけど。レコードジャケットのほか、本の装幀やCIなどをアナログな手法で制作している。

text/
Kaz Yuzawa

本記事は雑誌BRUTUS931号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は931号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.931
なにしろカスタード好きなもので。(2021.01.12発行)

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