【串のNEW WAVE】デンクシフロリ/焼鳥 うにか

グルマン温故知新

No. 930(2020.12.15発行)
世の中が変わるときに読む本。

ガストロ化する焼き鳥と、日×仏のクロスオーバーと。

世界各都市での食体験をヒントに、ワールドスタンダードを目指す焼き鳥店がお目見え。一方で、ジャンルを超えてコラボした和食とフレンチのトップシェフが、串料理をテーマにしたカジュアル店をオープン。グローバルな可能性を秘めた串料理の今を味わおう。

【デンクシフロリ ●表参道】トップレストランの味を串料理で気軽に。

 実力に加え、意外性に満ちたプレゼンテーションにかけては右に出る者ナシ。〈傳〉長谷川在佑シェフと〈フロリレージュ〉川手寛康シェフのことだが、2人で串料理の店を開くとは!

 串に着目したのは、マナー要らずの気軽さで、焼き鳥から屋台のホットドッグまで誰もが親しみや懐かしさを覚えるものだから。ブーダンノワールの“串揚げ”を筆頭に、イワシ団子にレバームース、がんも串にキャロットラペと、コース全皿に和仏の仕事がハーフ&ハーフ。腕と意気込みを買われシェフに抜擢された森田祐二さんがフルオープンの厨房を駆け回り、〈フロリレージュ〉出身の女将・橋本恭子さんの接客が和やかな空気を作る。ナチュラルワインや日本酒を軸に、青魚には柑橘のサワー、炊き込みご飯にお茶割りと、自由なペアリングも新しい。トップガストロノミー発のコンフォートな居酒屋。2021年のファインダイニングの行方を占ううえでも注目の一軒だ。

北海道出身、道内のイタリアンやオーベルジュで研鑽を積んだ森田シェフ。
ブーダンノワール りんご

ブーダンノワールとリンゴ。教科書通りの素材の組み合わせも、串揚げにし、リンゴは甘酢漬けで“ガリ”にして添えれば、和の装いに。極薄切りのリンゴを花のように盛り付けたビジュアルもアガる。〈フロリレージュ〉のアミューズ、ブーダンノワールの変化球。料理はすべて9,800円のコースから。

鴨 赤ワイン

ゴボウ、ニンジンをだしで炊き込んだご飯に、鴨の赤ワイン煮をのせ土鍋ごとゲストの前に。鴨をほぐして茶碗に盛り、半熟の味玉串をオン。炊き込みご飯と鴨版コック・オー・ヴァンの掛け合わせといった味わい。

甘味

卵の風味とバニラビーンズの香りを生かした硬めのプリンに、しっかり焦がしたカラメルソースを添えて。香ばしい煎茶を練り込んだクリームをのせ、カラメルと苦味を相乗させる。食後酒とも合う大人クラシックな味。

オープンキッチンを囲むコの字カウンターのみ。

【焼鳥 うにか ●浅草橋】鶏と野菜を、串焼き中心のコースで自由に。

 6,500円のコースは、フィンガーフードを盛り込んだ先付に始まり、前菜、野菜料理が2皿。続く串焼きは、レバーに添える辛子に南米産のチリを忍ばせたり、丸ごと火を通したニンジンにスパイスを効かせたり。あの手この手が心憎い。

 18歳から4年間、焼き鳥店で修業をし、20代、30代のほとんどを海外での仕事に費やした小林大輔さん。あらゆる飲食店で働きながらニューヨークに6年。帰国後は外食チェーンの商品開発担当としてアジア、オセアニア諸国を巡り、シドニーには2年暮らした。世界の都市の食文化に触れて確信したのは、人種や宗教を超えて愛される鶏料理のポテンシャル。原点回帰の焼き鳥で、その可能性に挑む、というわけ。「焼き鳥は季節感を表現しにくい」と、東京都青梅市〈Ome Farm〉の野菜をもう一つの軸に。塩味のミネラル感や柑橘ピールの爽やかな苦味に合うナチュラルワインを筆頭に、酒選びもぬかりなしだ。

調理から接客まで1人でこなす小林さん。
串物

上からトロレバー、丸焼きニンジン、塩つくね。レバーは遠火で時間をかけレアな食感に焼き上げる。野菜串は、ピーマンやシイタケではなく旬の野菜で。焼くとカボチャのような甘味が出る黒田五寸人参をクミンなどで香り付け。つくねはモモ肉と胸肉を使い、ふっくらと。料理はすべて6,500円のコースから。

先付

右上から時計回りに、鴨のタルタルの手巻き寿司、濃厚でクリーミーなウズラの卵「エル・フランス」のウフ・マヨ、鶏胸肉と金時人参の素揚げ。ファインダイニングのアミューズのような盛り付け(内容は時季替わり)。

前菜

塩締めにした鶏ささみを落花生のソースで和え、揚げタマネギ、青リンゴの千切り、菊花を添えて。コクと香ばしさ、フレッシュさが、ささみの旨味を引き立てる。鶏は信頼する問屋から仕入れる地鶏や銘柄鶏を使い分ける。

天井高が4m近くあり、開放的。内装デザインは〈スタジオドーナツ〉。
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デンクシフロリ

電話:03・6427・2788
営業時間:17時~、20時~(2部制)。
酒:生ビール800円、グラスワイン1,200円~、サワー1,000円~。
価格:コース(8品)9,800円。サ―ビス料別途10%。
席数:カウンター18席。

東京都渋谷区神宮前5−46−7 GEMS青山CROSS B1。月曜休、不定休。年末年始12月29日~1月6日休。東京メトロ表参道駅B2出口から徒歩4分。2020年9月30日オープン。予約の電話対応は12時~16時(空席があれば当日予約も可能)。好みの酒中心に組み立ててくれるドリンクのミックスペアリング5,000円~。プレミアムテキーラなどスピリッツも充実。2021年からは昼営業開始予定。

焼鳥 うにか

電話:03・4361・8045
営業時間:18時~20時最終入店。
酒:ビール(小瓶)600円~、ワイン(グラス)850円~。
価格:コース6,500円、4,000円。
席数:カウンター11席(現在予約は最大8席まで)。

東京都台東区浅草橋1−1−10 FKビル1F。日曜休。年末年始12月30日~1月3日休。JRほか浅草橋駅から徒歩3分。2020年7月9日オープン。フルコース6,500円は先付、前菜、サラダ、野菜料理、串物8種、食事、デザート。ショートコース4,000円は前菜、野菜料理、串物6種(追加可能)。日本酒はグラスか一合徳利で提供。600円~。ケータリング、出張焼き鳥イベントにも取り組む予定。

photo/
Naoki Tani
文/
佐々木ケイ

本記事は雑誌BRUTUS930号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は930号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.930
世の中が変わるときに読む本。(2020.12.15発行)

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