エンターテインメント

嵐の最高傑作です。『This is 嵐』嵐

西寺郷太のポップ警察〜名曲・珍曲・捜査録〜

No. 930(2020.12.15発行)
世の中が変わるときに読む本。
2020年11月に発売されたオリジナルアルバム。「Turning Up」「BRAVE」「カ イト」なども収録。大晦日には生配信ライブも予定している。見逃せない!

神憑ってる嵐の怒濤の活動は大晦日まで目が離せない。

 2019年1月27日に嵐が活動休止を発表した時、2020年大晦日までという区切りの「2年」が果てしなく長く感じたものです。活動休止を望んだのはリーダーの大野智さん。最初にメンバーに話したのは2017年6月16日、大阪で5人の仕事があった日の前日だったとのこと。ここから、事務所のスタッフは交えず、5人のみで意見をぶつけ合ったそうですが、そのこと自体が「嵐」というグループの底力、魅力の源泉であると僕は思っています。

 活動休止は簡単なように思えて難しい。バンドにせよ、グループにせよ、巨大な存在になればなるほどスタッフやマネージャー、レコード会社や事務所の人間が介在しなければ会話が成り立たなくなるケースも多い。ましてや国民的グループであり、現在300万人を突破したファンクラブを擁し、さまざまな企業のCMやレギュラー番組を抱える嵐のことですから、通常はビジネスライクになるか、突然破綻するかのどちらか。しかし、嵐の5人は7ヵ月の期間、それぞれ真摯に向かい合って話し合い、2018年2月に事務所に伝達。公式発表まで約1年をかけ、前代未聞の規模、全50公演2,375,000人を動員した20周年記念コンサートも全国展開してきました。

 2019年11月3日にストリーミング解禁された新曲「Turning Up」は、個人的には嵐の最高傑作だと興奮しましたが、もっと衝撃的だったのが、その後始まったNetflixの公式ドキュメンタリー『ARASHI's Diary -Voyage-』。

 特に、10月31日に配信スタートした大野智さんにスポットを当てた第16回「OHNO's Diary」は赤裸々で真心に満ちた彼の肉声、本当の姿が映し出された傑作で。幼少期に暮らした団地を再訪、ダンスをやっていた母親とのエピソード、そして彼の才能とキャラクターの魅力を見抜いていたジャニー社長とのやりとり。個展のために借りたであろう巨大な倉庫(アトリエ)の中で一心不乱に描く姿。訪れたメンバーと酒を無防備に飲み交わす姿。少年隊、錦織一清さんにリスペクトを捧げる大野さんの一人語りで胸が熱くなりました。休止宣言からの嵐の怒濤の活動は歴史的に見ても「神憑ってる」領域。大晦日まで見逃せません!

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にしでら・ごうた

音楽家。ノーナ・リーヴスのシンガー&ソングライター。『ディスカバー・マイケルTHE BOOK』発売中。挿画も担当。

文・題字/
西寺郷太
編集/
辛島いづみ

本記事は雑誌BRUTUS930号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は930号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.930
世の中が変わるときに読む本。(2020.12.15発行)

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