エンターテインメント

Kan Sanoが待望のニューアルバムを発表。|『Susanna』

BRUTUSCOPE

No. 930(2020.12.15発行)
世の中が変わるときに読む本。
Kan Sano

多岐にわたるプロデュースや編曲など、仕事を少し振り返る。

 Chara+YUKI「鳥のブローチ」や向井太一「君にキスして」から、SANABAGUN.「7 shot」まで。さらに、CMソングから劇伴など。話題の曲に必ずといってもいいほどプロデュースや客演としてクレジットされているKan Sano。2006年に米・バークリー音楽大学卒業後、同年に帰国し東京で音楽活動を開始。11年にソロアルバム発表以降に活動を活発化させ、13年にNYの〈Razor-N-Tape〉より発表されたロイ・エアーズの名曲「Everybody Loves The Sunshine」を、フェンダーローズの甘い響きとルーズなビートでカバー、世界中のDJから絶賛される。その後、国内で七尾旅人や中村佳穂との共演作も発表。

 自身の活動以上に、多くの他アーティストの作品に参加。シンガーやラッパーの個性を捉え、それぞれアプローチを変えていく仕事ぶりから、個人の仕事と認識できず、ひょっとして個人名を名乗りながらも、バンド名のようなものでは? と疑惑が立ったほど(現在ではライブや「Stars in Your Eyes」のMVで顔を見ることができたので疑念は解消された)。



 2019年は『Ghost Notes』発表と同時に、トム・ミッシュからのラブコールを受け、来日公演のフロントを務めるなど、話題に事欠かなかった。待望の新作『Susanna』は、落ち着いたトーンの歌声と、甘美かつファンキーなビートが全編を織り成す集大成的な作品に仕上がっている。内なるパッションをクールにまとめたLAの鍵盤奏者、ロブ・アルージョとの「brandnewday」、シンガポールのシンガー、チャーリー・リムが華を添える「Momentum」など新しいビートも聴かせてくれる。そして、シンセサイザーが印象的なディスコサウンド「Good Luck」は新章の除幕といったところだろうか。今後のライブや、『Susanna』からのリミックスなどが楽しみだ。

『Susanna』

1年半ぶり5枚目のフルアルバム。ロマンティックなピアノの旋律とメロディの「On My Way Home」、ロウファイヒップホップの流れを汲んだ「DT pt.3」など既発曲も収録。CDとアナログ盤も発売中。



多彩すぎる?最新仕事。

小西真奈美の最新作『Cure』では、小西自身が作詞・作曲した「Don't Be Afraid」をメロウかつ大人のポップスへ編曲。透明感のある声を生かしたアレンジは、もう職人技といえるほど。JUJU『STAYIN'ALIVE』に収録されたキリンジの名曲「エイリアンズ」のカバーでも編曲を担当。サビのビートを強調した結果、より切なく芳醇な仕上がりになった。そして、いろいろな意味で話題となった映画『とんかつDJアゲ太郎』のサウンドトラックにも、絶妙なビートを提供している。今度、仕事の振り分け方について質問してみたいものです。

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Kan Sano

1983年生まれ。米国留学中にはモントレー・ジャズフェスティバルにも出演。2006年に帰国後、『Fantastic Farewell』でデビュー。ライブのスケジュールなどは公式HPへ。

text/
Katsumi Watanabe

本記事は雑誌BRUTUS930号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は930号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.930
世の中が変わるときに読む本。(2020.12.15発行)

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