愛ゆえに奥深き餃子の世界。

From Editors

No. 929(2020.12.01発行)
餃子♡愛
僕の地元は浜松市のすぐ近くだったので、慣れ親しんだのは、野菜(特にキャベツ)が多く甘めの味付けで茹でもやしが添えられる浜松の餃子スタイル。生まれ育った地域ごとに餃子の特徴が異なるのも面白いです。ロケハンを始めてすぐに、東京の餃子にはもやしが付かないという、プチカルチャーショックを受けました。

「餃子」と聞いてわれわれ日本人が思い浮かべるのは、やっぱり焼き餃子。本場中国のメジャーは水餃子なのに。これには諸説あるようで、第二次世界大戦終戦後に中国、特に満州から餃子が日本に渡来し、安価でボリュームのある焼き餃子があっという間にお茶の間に浸透したことが、日本人の「餃子好き」の始まりとされています(江戸時代から食べられてはいたようです)。ちなみに満州の焼き餃子は、前日に食べた水餃子の残りを美味しく食べるために焼いた「二日目餃子」が一般的だったそう。ではなぜ、本場で一般的だった水餃子ではなく、焼き餃子が好まれたのか。それはきっと、日本人は米と一緒に餃子を食べるから、ではないでしょうか。中国では、餃子は主食とされていますが、日本ではおかずのポジション。そして、ご飯がススムようにと、ニンニクを入れたり(中国では入れないのが一般的)、タレにつけたり(中国ではラー油は足さない)と進化を遂げてきました。ゆえに、焼き餃子は、戦後の日本で花開いた、独自の食文化なんです。しかも、日本の焼き餃子は生の餃子を焼いているため、「二日目餃子」より美味しいというわけ。

さらに餃子を奥深くしているのが、餡の具材の「自由さ」。キャベツの代わりにレタスを入れたり、魚介を入れ複雑味を足したり、肉ではなく野菜を多めにして甘さを際立たせたり。また、それを支える皮の作りも千差万別。厚さ、固さ、大きさ、包みかた。店ごとに塾考されたスタイルがあり、餃子好きたちを唸らせています。皮と餡の仕込み、包み、調理する。餃子って、実はとっても手間がかかる料理なんです。

今回の特集では、そんな沼のように奥深い餃子の名店を80軒集めました。焼き・水・揚げはもちろん、世界の餃子に中華じゃない店の餃子まで。愛をもって餃子と向き合うお店ばかりなので、ぜひ、マイフェイバリットを探してみてください。

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辻田翔哉(本誌担当編集)

本記事は雑誌BRUTUS929号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は929号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.929
餃子♡愛(2020.12.01発行)

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