ライフスタイル

長谷川昭雄 ●スタイリスト、ファッションディレクター|ハンガーとラックに まともな物はほぼない。

綴る、日用品。

No. 928(2020.11.16発行)
物語る、日用品。

 スタイリストにとって大事な道具は、ハンガーとラック。これがないことには何も始まらないし、やる気も起こらない。ところが今まで、まともな物が揃った現場を見たことがほとんどない。僕の知る限り、どんなに立派な服やスタッフが揃う現場でも、大抵は酷いありさまだ。惨めなほど最初から斜めに傾いたラックは、車輪が取れていることもしばしば。挟み部分が弱く、何度やり直しても、小指がかすった程度の衝撃で滑り落ちるほど“握力がない”パンツハンガーがそこにかかっていることもある。ウールのコートをかけただけで、その重みで折れてしまうプラスチックハンガーっていうのもある。どれもこれも、アパレルあるあるだ。そもそも、そんな三流品を作り続けるメーカーがいつまでも生き残っていること自体が謎。その会社で働きたい人がいることも不思議だ。よく改良もせずに作り続けているものである。きっと誰もが、ハンガーやラックに興味を示さないからそうなるのではないだろうか。しかしスタイリストにとっては大問題だ。

 僕が普段、愛用しているのはハリガネハンガー。軽くて丈夫で、物に合わせて変形させることもできるから便利だ。何よりも収納もしやすいから、保管も楽だ。よっぽどいいジャケットでない限り、キチンとしたハンガーは使わない。重いしかさばるし、立派すぎるのも問題である。ラックは、10年くらい前にオーダーした、鉄パイプを変形させて作ってもらったオーダー品と、LAロケの際にターゲットで60ドルくらいで購入したものを併用している。ちなみに同店で手に入る30ドル以下程度の安い方は、10秒で壊れるから買わないことをお勧めする。

ライフスタイルカテゴリの記事をもっと読む

はせがわ・あきお

2012年から6年半、『ポパイ』のリニューアルに携わり、ファッションディレクターとして尽力。現在はプロダクト制作からビジュアル制作まで幅広く活動を展開する。

illustration/
Mai Beppu
edit/
Masae Wako

本記事は雑誌BRUTUS928号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は928号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.928
物語る、日用品。(2020.11.16発行)

関連記事