エンターテインメント

フランス映画の現在地を捉えよ!

BRUTUSCOPE

No. 928(2020.11.16発行)
物語る、日用品。
『カラミティ(仮)』は、レミ監督の前作同様、ベタ塗りの風景描写が素晴らしい。 ©2020 Maybe Movies -Norlum - 2 Minutes - France 3 Cinema
『GOGO 94歳の小学生』は、パスカル監督と出演者たちとの信頼関係が画面から滲み出ている。 ©Ladybirds Cinema
『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』は、芸達者なフランスの名優たちの演技合戦にも注目。 ©Les Films du Worso

新作10作を網羅した映画ファン垂涎の祭典が、待望の開催。

 コロナ禍下でしばらく開催が見合わせられていたフランス映画祭が、無事12月に開催される運びとなった。会場は横浜のみなとみらい21地区。ここでフランス映画の新作が10作品上映される。ファンにとってはまたとない機会だ。

 まず、今回のラインナップで特筆すべきはアニメーションだろう。毎回1本は必ず上映されてきたが、今年は現在のフランスのアニメの台頭を象徴するかのように2本。それも由緒あるアヌシー国際アニメーション映画祭でグランプリを獲った作品が2本並ぶという豪華さだ。

 1本は、最近日本でも話題になった『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』の監督レミ・シャイエの新作『カラミティ(仮)』。前作の北極探検から一転、今度はアメリカ西部の大平原に場所を移し、伝説の女性ガンマン、カラミティ・ジェーンの少女時代を描く。もう1本は、『ロング・ウェイ・ノース』のスタッフでもあったデニス・ドーの『FUNAN フナン』。ポル・ポト政権下のカンボジアで、3歳の息子と離れ離れになった夫婦が息子を取り戻そうと懸命に生きる日々を描いた作品だ。

 実写もバラエティに富んだ作品が揃う。例えば劇映画ではカトリーヌ・ドヌーヴ主演の『ハッピー・バースデー 家族のいる時間』。ドヌーヴの誕生日に子供たち家族が集まってくるのだが、行方不明だった姉も帰ってきたことで家族に波紋が生じる。是枝裕和の『真実』と近いテーマながら、監督のセドリック・カーンらしい人間ドラマに仕上がっている。

 何㎞もの道のりを学校へ通う世界の子供たちをドキュメントした『世界の果ての通学路』のパスカル・プリッソン監督の新作『GOGO 94歳の小学生』も、ケニアの世界最高齢のおばあちゃん小学生が小学校に通い、卒業試験に挑む様子を追った必見のドキュメンタリーだ。

『フランス映画祭 2020 横浜  Festival du film français au Japon 2020』

今年28回目を迎えるフランス映画祭。フランス映画の新作をいち早く観ることができる。今年のフェスティバル・ミューズは米倉涼子、フランス代表をイザベル・ユペールが務める。全10作品上映予定。

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Mikado Koyanagi

本記事は雑誌BRUTUS928号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は928号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.928
物語る、日用品。(2020.11.16発行)

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