【2020年の町中華】湯気/REI Chinese Restaurant

グルマン温故知新

No. 926(2020.10.15発行)
恋の、答え。

モダンに進化した、町の中華へ。

その町に根ざした古き良き“町中華”が見直されつつある一方、新しく生まれる“町の中華”にも、店主の個性と時代感を色濃く反映したチャーミングなお店が増えています。奇遇にもこの夏、中野と代々木上原で同じ日に開店した2軒が揃い踏み。

【湯気 ●新中野】話題をさらった町の中華が新天地で待望の復活。

 2018年夏に開店するや、日常的に食べたい飾らない中華料理とナチュラルワイン、同じ空間に花屋が共存する不思議な雰囲気が評判に。瞬く間に人気を集めた〈湯気〉だが、ビルの取り壊しのためにわずか8ヵ月でクローズした。そこから、店主の田口雄一さんと、花屋の店主で田口さんの妻・memeさんは約1年かけて理想の「古い物件」を探した。

師匠から譲り受けた中華まな板や包丁を大切に使う田口さん。

 そして今年、新中野駅に近いエリアに新たにオープン。ホワイトボードに手書きされたメニューの雰囲気は前と変わらず、圧倒的な人気を誇る「油淋鶏」もあるが、内容は少しずつ変化している。

 田口さんは出版社勤務の傍ら、中華料理研究家の佐藤幸男さんが主宰する料理教室に3年間通い料理を習得した。「ようやく店を構えたのだから、師匠から習った料理や新しいメニューも徐々に増やしていきたいです」

 思い描いた通りの新天地で、料理もますます進化の予感!

油淋鶏

旧店舗時代の名物は「封印しようかとも思った」ものの、根強いラブコールを受けてやっぱりメニューに。大山鶏のもも肉は、上質な米油でカラリと2度揚げ。2度目は、穴開きお玉で雨を降らすように油を何度もかけるのがポイントだ。刻みネギがどっさりと入った甘酸っぱいタレをかけて。1,320円。

台湾ピータンとカブの醤油漬け

中国のピータンよりも黄身の部分がトロリと軟らかく匂いのクセが少ない台湾産ピータンを使用。ショウガの甘酢漬けを添えるのが一般的だが、〈湯気〉では自家製のカブの醤油漬けを断面にひらりとのせる。495円。

空芯菜炒め

シンプルなだけに丁寧なプロセスが肝要な野菜炒め。最初に硬い茎の部分のみを軽く炒めて取り出してから、中華鍋に新しい油とニンニクを入れて熱し、茎と葉を炒め合わせることでシャキッとした食感に。1,045円。

〈LOVELETTER〉 側から〈湯気〉の店内を見るとこんな景色に。

【REI Chinese Restaurant ●代々木上原】上質をカジュアルに。ホームタウンに根ざす新店。

 オーナーシェフの高島泰弘さんは、代々木上原住民歴15年。自分の店を開くならこの町で、という夢を、この夏実現させた。

 専門学校卒業後、最初に入った京王プラザホテルの〈南園〉では伝統的な広東料理をしっかりと習得。続いての世田谷〈火龍園〉でもオーナーの唐朱興氏の下で広東料理を身につけた。さらには、四大料理もあれば点心もあり、というグランドハイアット東京の〈チャイナルーム〉でも技に磨きをかけた。

鮮やかに炎を操る高島さん。

 そうした技術を携えて開いた店は、ガラス張りのエントランスから店内がよく見え、入りやすい雰囲気。メニューには、店名を冠したスペシャリテ「よだれ鶏“REIスタイル”」を筆頭に、エビマヨネーズソースや黒酢すぶた、焼きギョーザ、など馴染みのある名前が並ぶ。

 一流のテクニックを施しつつも親しみやすい料理が揃い、一人客に優しいカウンター席も、テーブル席も完備。ご近所さんが羨ましくなる新顔の誕生だ。

よだれ鶏“REIスタイル”

しっとりとゆでた鶏もも肉にたっぷりとかけるタレのベースは、たまり醤油のような旨味がありタイでポピュラーな調味料「シーズニングソース」。これに自家製のラー油を合わせ、中国の揚げ唐辛子スナック「ピリパリ唐辛子」を砕いてかける。さっぱりしたタレとカリカリのスナックが鶏と好相性。1,500円。

三点心

飲茶が人気の店にいた高島さんだけに、点心メニューもお手のもの。自身の店にも点心が得意なスタッフを採用し、力を入れている。こちらは焼売、ニラ蒸し餃子、海老蒸し餃子の1種類を1つずつ楽しめるセット。700円。

エビマヨネーズソース

塩コショウで下味をつけ、片栗粉をはたいてカラリと揚げたエビにクリーム色のソースをまとわせて。マヨネーズとコンデンスミルク、生クリームにジンを加えた特製ソースはこっくりしていつつ後味はさっぱり。1,400円。

モノトーンで統一された店内。壁に飾られた古門圭一郎さんのアート作品がアクセントに。
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湯気

電話:070・3861・8300
営業時間:18時〜22時LO。
酒:ビール605円〜。サワー550円〜。ボトルワイン6,600円〜。
価格:冷菜440円〜。点心440円〜。温菜1,100円〜。焼飯850円。
席数:カウンター5席。テーブル2卓8席。

東京都中野区本町4−5−18。不定休(Instagramで告知)。交通:東京メトロ中野駅から徒歩7分。2020年8月8日開店。店は、築50年のビルに。同じフロアにはmemeさんのオーダーメイド屋〈LOVELETTER〉が。作業台は〈湯気〉営業中は立ち飲みスペースに。また、2階には店舗設計を依頼した建築事務所〈アリイイリエ アーキテクツ〉が入居している。カード利用不可。

REI Chinese Restaurant

電話:03・6416・8803
営業時間:11時30分〜14時LO。17時〜21時LO。
酒:ビール660円〜。紹興酒680円〜。ボトルワイン3,600円〜。
価格:海鮮料理1,400円〜。肉料理1,800円〜。点心500円〜。麺飯1,400円〜。
席数:カウンター9席、テーブル4卓14席。

東京都渋谷区元代々木町10−8 関ビル1F。日曜休、祝日不定休。交通:小田急線・東京メトロ代々木上原駅から徒歩5分。2020年8月8日オープン。まずは「ザーサイの浅漬け」「鶏レバー赤酒の香り」などの小皿料理とお酒を楽しみつつ注文を決めるのもおすすめ。ランチタイムには、よだれ鶏や麻婆豆腐のセット各1,500円や10食限定の担々麺1,600円が。特選点心2個400円の追加もOK。

photo/
Hisashi Okamoto
文/
小石原はるか

本記事は雑誌BRUTUS926号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は926号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.926
恋の、答え。(2020.10.15発行)

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