アート

In The Midnight Hour (2019)|ミケランジェロ・ラブレース

チンキビジュツ〜世にもおかしなアートの世界〜

No. 926(2020.10.15発行)
恋の、答え。
©Michelangelo Lovelace Studio, courtesy of Fort Gansevoort

 1960年アメリカ生まれの画家、ミケランジェロ・ラブレースは、アメリカの様々な都市のコミュニティを描いています。でも彼が選ぶのは、犯罪、ドラッグ、教育、ヘルスケアなどの問題をはらむ貧困層が多く住む街ばかり。いわゆるスラム街ですね。この絵では、夜な夜な繁華街をたむろする若者たちの姿が。面白いのは、通りに並ぶ店の看板です。スラングで“イケメン”という意味の「Eye Candy」や、黒人女性との性的な関係や未精製のヘロインを表す隠語「Brown Sugar」という言葉がデカデカと掲げられ(いつも思うのですが、日本語ってこの手の卑猥な語というのが少ないですよね)、店の中ではどんな騒動が起こっているのか気になるところ。そして、等間隔に立つ街灯に、舞台でスポットライトを浴びる主人公のように照らし出された人物たちにも注目です。ちなみに、手前に描かれたパトカーに光は当たっていません。群衆の中にいる無名の人々のそれぞれの物語は、きっと、警察も取り締まることができないのでしょう。

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文/
中村志保

本記事は雑誌BRUTUS926号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は926号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

No.926
恋の、答え。(2020.10.15発行)

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